2011,11,14, Monday
石灰を焼こうとして、いろいろ試しているうちに、七輪に陶製植木鉢で蓋をすると、わりと高火力の窯として代用できることが分かり、その他諸々の実験にも使えそうな予感がしているのだけど、燃料によって実験の成果がだいぶ異なってくる。幾種類かの燃料を試したけれど、まず、火力が高いと言われるコークスであるが、ふつうの七輪の使い方(鉢で蓋をしない)では、さっぱり役に立たなかった。燃えないのである。鉢で塞いで窯、というか炉のような状態にすると、それなりに火力を発揮しはじめる。だが、七輪では狭くて物足りない感じである。実際、石灰を焼くような工業的な用途ではコークスが現役で使われているようだが、七輪で無理に使わなくてもいいような気がする。どっさり買ってしまったので、私はどうにかして使い切らないといけないが。コークスは初めて使ったけど、最初全く火が付かなくてどうしたものかと思ったが、さらに普通に燃えているものの中に入れても燃え残るので、不良品でも買ったのかと心配になった。しかし、ようするにストーブとか、炉のような状態で火力を発揮するものらしい。
七輪の窯では、今のところオーソドックスに木炭を使うのが一番ではないかという気がしている。ナラなどを使ったやや高級な炭は、火がたいへん長持ちして、暖房用にはよいのだが、火力の必要な実験をしていると、ちょっと落ち着きすぎていて物足りない。昔のヨーロッパの産業ではオーク材の火力が重要だったということを読んだことはあったが、時間軸も含めた総合的なカロリーは高かったかもしれないけど、瞬間的な炎の強さは、針葉樹の方がよさそうである。 「現代農業 2011年 12月号」は薪の特集だったので、薪関連の記事に一通り目を通した。薪の場合、ナラなど広葉樹の薪は火が長持ちするので、暖房用に人気があるが、それと比べると針葉樹は短時間で燃え終わってしまうので、薪ストーブ用には不人気だとか。ただし、短時間で燃えるということは、それだけ火の勢いが強いわけで、すぐに暖まりたい場合は、松材の方がいいこともあるとも書かれてあった。石灰を焼く際に、できれば火力の強い炭を使いたいと思って、価格のちょっと高めの木炭、ナラ材の炭を買ってみたが、燃やしてみると、赤くなってじわっと熱を発し、見ていても高級感溢れるけど、七輪の窯にはあまり向いていないかもしれない。バーベキュー用などに売られている最も安い価格帯の炭は、ラワン材になどにも使われる南洋材が原料の炭である模様だが、この炭は、すぐに燃え尽きてしまうのだが、その分、火力が強そうである。じわっというのではなくて、火がメラメラと燃え上がりつつ、どんどん燃焼し尽くして灰になってゆく。これと七輪の窯の組み合わせはなかなか良いと思う。着火も非常に楽で、ナラ炭はなかなか火が付かないけど、南洋炭はちょっとした火種があれば、簡単に着火できる。このような安物木炭はどんどん燃えてしまうので、予想よりずっと多くの炭を用意しておかないと足りなくなる。安い炭をどんどん追加していきながら、通風口から空気を送り込んで燃やし続けると、うまく石灰が焼けるのではないか、などと思案中。 なお、七輪でよく使われる燃料に豆炭というのがあって、これは火がものすごく長持ちするから、暖房用には最適かもしれないが、しかし、その分火力が控えめなので、火力の必要な実験では、邪魔になるだけのように感じた。七輪って、狭いですからね。 |
2011,11,09, Wednesday
七輪で石灰岩を焼いて生石灰にし、漆喰を作ることができるか試してみた。
こちらが、ホームセンターで購入した炭火七輪。 七輪の燃料と言えば、炭と並んで豆炭が思い浮かばれる。他には、火力の強い燃料としてはコークスがある。最初、木炭、豆炭、コークスの混合で試みたが、結果は芳しくなかった。木炭も原料等により性能が異なるから、これも複数試したが、バーベキュー用の安い木炭を使った場合が、いい結果になった。しかし、この件は長くなりそうなので、別途機会があったら書くとする。 七輪に炭を入れて火を点ける。安物の南洋材の木炭はすぐに火が付く。 火が付いたら、木炭の上に石灰岩を配置する。 さらにその上に木炭を置く。 七輪の上に、陶製の植木鉢を置き、炉のような構造にする(ガスは鉢の穴から抜ける)。 七輪の下穴は絶えず全開にし、ときどき団扇などで扇いで火の勢いをつけてやる。 木炭をどんどん投入しながら、8時間ほど燃やし続けた。 木炭をケチってはいけない。 翌朝、燃えかすの中から、石灰岩を取りだしてみた。 水に浸けて見たが、反応はほとんど見られない。灯油窯で焼いたときは、一気に水温が上がって、石灰岩が崩壊してゆく様が見えたものだが。。 しかし、半日ほど放置していたら、いつの間にか石が崩れて、細かい粉の練り物になっていた。 灯油窯で焼いたほどではないが、七輪でもこのくらいにはなるようである。 あとは、これが漆喰のように固化するのかどうかを確認したいところである。 |
2011,11,06, Sunday
以前、カセットコンロでの生石灰作りを試みたが、コンロやガスバーナーでは長時間の加熱に向かず、コンロが酷く痛むし、カセットが熱せられて爆発するという危険もないわけではない。
石灰岩を灯油窯で焼いた場合は、サンプルが満遍なく生石灰となって一応の成功であったが、灯油窯を持っている人は少ないと思う。 というわけで、今度は練炭コンロで試してみることにした。 実は、練炭というものを初めて使用したのだけれど、なかなか便利な燃料である。練炭及び練炭コンロについては、Wikipediaが詳しいので、↓そちらを参照されたし。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%B4%E7%82%AD 石灰石を焼いて生石灰にする際の温度は『ポンペイの壁画』によると900~1200℃とある。Wikipediaによると、練炭コンロ(上つけ練炭コンロ)を使用した場合、燃焼温度が1060~1100になるという。そして、下窓を開放した高出力時で5~6時間燃焼を継続するという。2回続けて焼けば、12時間になるので、生石灰を作るには充分ではなかろうか、という期待である。 なお、期待させると悪いので予め結論を書くと、いちいちうまくいかなった。正確には途中で断念した。 でも、試みたことを順に書きとめておこう。。。 まず、練炭コンロに火をつける。 ステンレスの網に石灰石を入れる。 それを燃えている練炭の上に置く。 石灰石は、理科実験用教材として売られているもの。たぶん試験管に入るようにということで、とても小さく砕かれている。 火にくべたら、パチパチ鳴って、飛びだすので困った。 思わず反射的に素手で拾ってしまって、見事に火傷した。 酷く痛むので、アロエを切って幹部を巻いておいたら、そのうち治ったが。 練炭コンロの下窓を開けるほど、それだけ火力が強くなるそうで、終始全開の状態で行なった。 全開だと、だいたい5~6時間ぐらいで練炭は燃焼され尽くす。 日が暮れても燃え続ける練炭。 しかし、これだけ熱してもほとんど成果はなかった。焼いたサンプルを水に入れても、崩壊も、沸騰もせず、ペーハー測定紙を入れても変化なしであった。 陶製の鉢でフタをしてみることにした。 こうすることによって、炉のような構造になって、中の温度が非常に高くなるのである。 とある児童向けの本を読んでいたら、炭火七輪に鉢で蓋をした炉で、陶器を焼く方法が載っていたので、さっそく試したわけである。 これはなかなか効果があったようである。 最終的に石灰石は↓のようになった。 よく見ると、白さが増している石があるが、これは生石灰になりかけている状態だと思う。 しかし、炉のようにして2回焼いてこれであり、それでも、水を強アルカリにすることはあるけれども、崩壊も発熱もなく、いまいち効率的でないと感じた。同時に、炭火七輪でも行なったのだけど、そっちの方がうまくいってそうな様子なので、練炭コンロはこれで終わりにした。 すごい無駄な行為だったような気がしないでもないけど、練炭っていうのを使うのが初めてだったので、それを見ているのは面白かった。 練炭の持つエネルギーは練炭の体積以上のものは入ってないだろうし、これだけ長い時間、燃焼が持続するということは、瞬間的な火力は抑え気味であるのでしょうなぁ。 |
2011,11,05, Saturday
陶器制作用の窯で、石灰岩を焼いてみることにした。
琉球石灰岩である。 1300℃で6時間焼いた。 それほど変わってないように見えるかもしれないけれども、私の経験上では、見ただけでしっかりと生石灰になっているような雰囲気を醸し出していた。 瓶に移して、水を入れてみた。 ジュウジュウと音がして、水が温まってくる。 もちろん、石は充分冷えた後なので、生石灰と水の反応で温度が上がっているということである。 次第に石灰岩が砕けだし、かき混ぜるとどろどろの漆喰風の練り物になった。 瓶がどんどん熱くなっていく。 というわけで、石灰石を焼いて、生石灰を作ることに成功。 と言っても、さすがに陶器用の窯で失敗するということはないとは思うが。 イタリアの伝統的な消石灰製造においては、これを数年かけて水の中で消和させるとのことであるが、水に浸けて間もなく漆喰として塗っても、一応の壁は作れるであろう。というわけで、少量ではあるけれども、これをパネルか何かに塗ってみたい。 -- 2011年11月9日追記 上記の生石灰で漆喰が作れるかを早速試してみた。 水に入れた生石灰は、理想を言えば、長い時間をかけて消化させるとよいらしいけれども、この程度の量でそこまでするのもなんなので、続けざまにパネルに塗布してみることにした。 一応、数時間は、↓この状態で置いてはみたが。 石灰だけでは割れるので、繋ぎとして砂を混ぜた。 砂の量は、下地か、仕上げ層かで異なってくるが、今回は石灰よりも多いぐらい砂を入れた。 で、F4号の木製パネルに塗ってみたが、2~3日で立派な漆喰となっていた。 よく見ると、表面に穴とか筋があるのが見えるけど、これは、乾燥が進む間、ずっと気になって、棒で突いたり、ひっかいたりしてたので、こうなってしまっただけある。 |
2011,10,17, Monday
漆喰用の消石灰を作る方法は、『ポンペイの壁画2』巻末の「ローマ壁画の技法」が読みやすいと思う。
以下抜粋を引用。 「純粋な石灰岩を選び出し、窯で900-1200度の高温で焼くと、二酸化炭素が発生する。この操作によって炭酸カルシウムから生じる酸化カルシウム生石灰、もしくは焼き石灰と呼ばれる・・・<中略>・・・こうしてできた灰白色の生石灰の塊を平らな容器の中に入れて水で「消和する」。するとこの塊は高温を発し、水酸化カルシウム-白色のどろどろの石灰-ができる。このできたての新鮮な石灰はモルタルの材料として使用されるか、あるいは石灰沈殿槽の中で完全に消和させるため「水に浸けられる」。その中での消和は、少なくとも数年はかかる。」 古代ではすでに技術的に成熟していたようだけれど、石灰で漆喰のようなものを作る方法は、それよりずっと昔から発見されていたのかと思われる。同書でも「火を焚いている場所の近くの石灰岩が細かく砕けたり、どしゃ降りの雨の日に熱くなって湯気を出し、どろどろに溶けたあと再び固くなるさまなどを見て学んでいったであろうことは想像に難くない」とある。あまり高度なものとは考えすぎずに、原初的なものを目指して、石灰岩から漆喰っぽいものを作ってみたいと思うのである。 というわけで、石灰岩を焼いて生石灰を作り、水で消和して消石灰を作るという行為を行ないたいと思うが、その方法として考えられるのうち、それほどの手間なく自分で出来そうなものとしては「市販のかまどと薪で焼く」、「陶芸用の石油式窯で焼く」、「染色などをする際に使っているブロック積のかまどでコークスと一緒に焼く」というようなものが挙げられる。いずれも、大きな投資はなしに実行できるけれども、石油式窯の方は現在故障中である。 いずれにしても、まずは、予備的実験として、炭作りのときと同様、いつもの如く、カセットコンロで試してみようと思う。簡単な道具でできれば体験学習としても活用できるということで。 はじめに、石灰石ではなく、市販の炭酸カルシウム粉末(競技場ライン用)をフライパンの上で焼いてみることにした。 しかし、どうもうまくいかなかった。フライパン上で3時間熱し、ガスカセットを2本消費したが、特に目立った変化はなかった。 生石灰化したかどうかの判断として、水に投入したときに熱を発するか、または、水をカルカリ性にするか、という点に注目したが、水に混ぜてもペーハー値に変化はなかった。 生石灰を作るにはかなりの高温と時間が必要であるが、この場合フライパンがむしろ熱を遮っているとも言える。 しかし、これは試しにやってみただけで、特に深い意味はなかったから、すぐに放棄した。 で、いよいよ石灰石を取り出す。 琉球石灰岩の砂利、小さめの砕石である。 正直、見た目で判断すると、石灰岩として純度が高いかどうかはやや疑問である。 建材屋さんより、サンプルとして頂いたものである。 カセットコンロ上で、直接火が当たるように熱する。 30分ほど熱したところで、焼けた石を水に入れてみたが、水で崩壊するということはなかった。 30分程度では、なんら変化ないだろうと予想していたから、べつに気にしなかったが、その水にペーハー測定紙を入れてみたところ、わずかにアルカリ性になっていた。それなりの手応えはありそうである。 加熱1時間継続で、小さな石を取り出し、水に浸けてみた。水で崩壊するということはなかった。 しかし、その水のペーハーは完全に強いアルカリ性を示した。 だんだん日も暮れてきた。 さらに30分経ってみたところで、また小さな石を水に入れてみた。水に入れたところで崩壊する兆しはなかったが、割り箸の先でちょっと押したら見事に崩れ去って、粉になった。ちなみに元の石灰石は、力いっぱい押したところで、割り箸で粉々になるということはない。というわけで、生石灰の完成に近づきつつあるような気がした。 2時間加熱したところで、一端終わりにした。ほんとはもっと長時間でないと駄目なのだろうけど、少量のサンプルを焼くだけなので、この時間で充分かと判断した。 焼いた石灰石は、すぐに瓶に移して密封した。空気中の水分と二酸化炭素で、元の炭酸カルシウムに戻ってしまうといけないと思ったからである。 しかし、あるいはすぐに水に入れて消和させるべきだったのかもしれない。 明くる日、さっそく水に浸けてみることにした。 まず、小さくて、より白くなっている石を選び・・・ 試しに水をかけてみた。 表面が崩れ去り、石がじゃっかん温かくなった。 石灰乾燥剤に入っている生石灰などは、沸騰させるほどに水を温めるが、そこまではいかないようだ。 瓶に水を入れてみた。 期待したほどの反応がなくて、少々ガッカリである。 粉化したのは、この程度であったが、しばらく水に浸けた状態にしておいたのち、漆喰のように使えるか試してみたい。 備考 今更だけれど、建材サンプルではなくて、理科実験用に売られている石灰石を使えばよかったと思った。 カセットコンロは温度はわりと火力が強いので、火力不足というよりは、加熱時間が足りないということかもしれない。 しかし、強火で加熱を続けると、カセットコンロが激しく劣化するし、ガスカセットが温まって危険である。 練炭の上に石灰石を置いて、一昼夜ぐらいずっと熱し続けるなどの方がいいのかもしれない。 |
2011,10,14, Friday
私は漆喰には詳しくありませんので、まさに自己学習の為であるので、以下はあまり信用せずに閲覧ください。
まず、市販の農業用消石灰のみを水で捏ねて塗ってみました。 ずいぶん、ひび割れましたな。 消石灰のみを塗っただけでは、収縮や水分不足により割れ等が起こるようで、消石灰の他に何か他の顔料を混ぜたり、繊維を含めたり、ノリを入れたりなどして使われるとのこと。ある程度砂などを混ぜた場合は、多少割れが起こりにくくなる。日本の漆喰に入れるノリは、より多く水分を含んだ漆喰練り物を作るということと、急激に乾燥させない目的に為に入れるようです。ウィトルィウスには、細かい大理石末を入れるようなことが書いてありましたが、大理石末は買おうかどうか迷い中であり、とりあえず、ただの石灰末(炭酸カルシウム)を買ってみました。 競技場ライン用の炭酸カルシウム。Amazonで購入。本体800円くらいですが、送料が+500円ほど。 昔はラインには消石灰が使われいて、目や喉に凍みたりたりしたんですけど、今はただの炭酸カルシウムが主流の模様。 消石灰の場合は、雨が降ると固まって消えにくくなるという性質があったけれども、炭酸カルシウムは逆に流されて消え去るのでしょうね。消えてなくなった方がいい場合もあるでしょうから、どっちが優れているというわけでもないですが。 ほぼ同じ条件ですが、炭酸カルシウムを混ぜたら、ひび割れがとても少なくなりました。 最終的に試したいのは、石灰岩から、消石灰を作るという作業です。 これは琉球石灰岩。 実はだいぶ間から石灰岩などの素材を集めており、そして関連の図書や論文なども目を通していたのだけど、ちょっとわからない部分も多く、けっこうたいへんそうな感じであったので、いまいち実行に移せなかった。 久々にWebを検索したら、以下のようなページを発見。 http://shikkui.iza.ne.jp/blog/entry/2410097/ これは非常にわかりやすいです。 下記もなかなかヒントなります。 土佐漆喰の作り方 (高知県の土佐漆喰製造業者を訪ねて) http://citykankyo.umu.cc/sozai/shizen-sozai-6.htm http://citykankyo.umu.cc/sozai/shizen-sozai-7.htm |
2011,08,14, Sunday
乾性油と不乾性油の中間、「半乾性油」と呼ばれたりする油脂、胡麻油、綿実油、大豆油など、そこそこの割合でリノール酸を含んでいる、その類の油を塗料の媒材として使用した場合どうなるのか?
単に乾燥がひどく遅くなるというだけなのか、それとも最終的にベタ付いたまま状態でしっかり乾燥することはないのか? ハイリノールのベニバナ油はチューブ絵具で使われているけれども、食用として大勢を占めるハイオレイックのベニバナ油は乾燥しないのか? リノール酸もリノレン酸もほとんど含まない不乾性油に関しても、絶対に乾燥しないのだろうか? 以上のようなことが、前々からちょっと気になっていたので、確認しておきましょうかと思い、手当たり次第に試験塗布してみることに。 実験方法は、食用油と乾いた顔料を混ぜて、塗るというだけである。支持体はアクリルジェッソを塗った合板パネル。板にアクリルジェッソを塗ったものは、意外と媒材を吸い込まないので、このような試験に適していると思う(吸収性が高いと、吸収しただけで乾いたような感じになってしまいますからね)。 できれば、同じ厚さの塗膜に塗るとかすると、個々の油の乾燥速度が正確に測れて理想的なのだけど、ひとまず今回は乾燥するかどうかを先に確かめたいので、適当に筆で塗布ということで。ちなみに、同じ厚さに塗る方法は、絵具メーカーさんを見学させて頂いたときに見せてもらった覚えがあります。 で、一応、塗布した油脂について、主なものをメモしておくと、食用のフラックスシードオイル2種を塗布したけど、これままず乾燥するでしょう。画材用よりは遅いだろうけど。それから食用のエゴマ油と、塗料用のエゴマ油、エゴマ油と性質が似ていると思われるシソ油も塗ってみた。これらはリノレン酸主体である。 ヒマワリ油は、従来のハイリノールと、最近よく見るハイオレインの2種を塗布。予想ではハイリノールは乾燥し、ハイオレは乾燥しないであろうかと。同じ、ハイオレの紅花油。あとは綿実油とか、米油とか、ある程度の割合でリノール酸を含む油を使ってみた。この辺がどうなるかが、主な見所ではないかと。あと、参考までに食用油のスタンダード的存在、日清サラダ油も塗ってみた。 あと、3マス残っております。 まず、半乾性油として取り上げられることの多いゴマ油あたりを。 それから、リノール酸含有率がそれなりに高いグレープシードオイル。西洋では葡萄の搾りかすや枝の炭をヴァインブラックとして使用してきたし、種の油が媒材としてどうなのかという点は少々気になる。 ちなみに、結果がわかるまでに、かなりの日数がかかると思われる。1年ぐらい気長にまってみる予定。 --------------------------- 2011年9月25日追記 1ヶ月半ほど経過したので、状況報告。 ●未精製フラックオイル 紅花食品 備考:原料はニュージーランド産 良好に乾燥 ●食用アマニ油 日本製粉(株) 良好に乾燥 ●荏の油(塗料用)中部サンデー販売(株) 良好に乾燥 ●荏胡麻油 紅花食品 備考:機械圧搾一番搾り 良好に乾燥 ●RIO SANTO SUNFLOWER OIL ハイリノール 備考:ひまわり油、トルコ産 やや乾燥して粘りがあるが、まだ指に付く。 ●オレインリッチ 昭和産業 備考:食用ひまわり油 ハイオレイック 全く乾燥しておらず ●日清 綿実油 触るとべたついた感触があるが、指にはつかない程度に乾燥 ●紫蘇油 紅花食品 良好に乾燥 ●味の素 べに花油(ハイオレイック) 全く乾燥しておらず ●米油 全く乾燥しておらず ●国産なたね油 (有)鹿北製油 圧搾法一番搾り 全く乾燥しておらず ●日清キャノーラ油(食用菜種油) 全く乾燥しておらず ●日清サラダオイル 全く乾燥しておらず リノレン酸系のオイルは、全て良好に乾燥。リノール酸をわりと多目に含む綿実油が乾燥しかかっている。リノール酸ひまわり油の乾燥が遅いのが気になるところであるけど、ひまわり油はリノール酸の量が環境によって変わるそうなので、1サンプルでは不十分かも。 |
2011,08,03, Wednesday
普段、粉末膠を使用しているせいか、あまり意識しないけど、板や棒になっている膠を触ると、膠というのは本当に固いということを実感する。三千本など、初めて使おうとしたときは、戸惑ったものである。折って水に浸けられるので、実は棒状というのは楽な方だったが。
以前、膠自作の話をエントリーしたことがあったけど、その際、厚めの板状固めたのだが、これがまた固くてピクリとも動かない。短剣を作ったら武器になるかもしれないという感じである。 で、同じように「PVA」を固めたらどうなるだろうかと、ちょっと気にならないでもないです。膠と同じくキャンバスの目止めに使われているので、どのぐらい違うかという比較はやはり気になるところです。そんなわけで、膠を固めたときと同じように、PVAを固めてみることにしました。 用意したのは2種類のサンプル、PVA文具糊と、PVA洗濯糊。これらはたぶん、濃度が違う。洗濯糊の方には濃度10%と表記されているが、文具糊は不明。 というわけで、膠を固めたときと同様の容器に、文具糊をだばだばと注ぐ。 ダイソーの一番大きな文具糊2本使用。 つづいて、洗濯糊も。 で、乾燥させる。 成分の大半は水分だから、これよりずっと薄くなるであろうことが予想されるが、それは膠も同じである。しかし、そんなことより、膠液は常温ですぐにゼリー化するから、乾燥させる上で、網に移すとかいろいろできるけど、PVAは液状のままなんで、乾燥させるのにちょっと時間がかかりそうである。 で、かれこれ1ヶ月ほど経過。 自信はないが、たぶん乾燥したと思う。 指でくにゃっと簡単に曲げられます。 洗濯糊の板。 これも、曲げられる。 だから何?、という感じであるが、やはりPVAと膠では、固さにかなり差があるように思われる。どっちも利点になったり欠点になったりするであろうけど、キャンバスとしてはPVAの方が、柔軟性があった割れなどの問題も少ないと思われる。特に細く巻いたりするときはPVAの方がよさそうである。自分がキャンバスメーカーだったら、安心して在庫したり、出荷したりできそうである。しかし、画布が麻の場合は、吸放湿により強い力で伸縮するので、これで麻を押さえられるかという不安がある。「木綿化繊混合画布」に「PVA目止め」「アクリルジェッソ地塗り」そして「アクリル絵具での描画」とくれば、相性としては最強の組み合わせであり、アクリル絵具は永続的に柔軟性を保つというから、経年後も長く理想的な組み合わせは続きそうな予感がする。麻と綿の生地を触っていると、麻でPVA目止めはちょっと難しいかなと思うというか、最近、あちこちで、木枠に張ったキャンバスが弛むという話を耳にするけど、これが原因の一端ではなかろうかと疑ってるわけです。個人的には、亜麻キャンバスの場合は、膠引きの製品を使っておこうかなと、今のところは考えているところです。アクリル絵具使用者の場合は、綿化繊+PVA+アクリル地塗りで鉄板ではなかろうか。なお、実験がおかしいとか、話が短絡過ぎとか、ご意見あればコメント欄にお願いします。 |
2011,07,11, Monday
発酵をよく理解し、活用することは色材を扱う上でも重要な事柄であると最近よく思うのだけど、発酵に関しては『ぶくぶく発酵するふしぎ 絵本 おもしろふしぎ食べもの加工』がなかなか素晴らしい本であり、重要な事柄を惜しみなく簡潔に手短に語っており、さっと目を通すだけでもいいことだと思うけど、ちょっとは実践してみるのがいいだろうと思って、同書の指示に従い、アップルサイダーを作ってみた。
空ペットボトルにりんごジュースを入れ、砂糖と少量のイーストを投入。 その後、温かいところに数時間放置。 炭酸飲料みたいにシュワシュワと泡が上ったりするようになる。 フタを開けたら、一斉に泡が吹き出してビビった。 一応飲んでみる。 |
2011,07,10, Sunday
自宅に植えていたタデアイがだいぶ大きくなっており、既に7月に入っているので、一回目の刈り取りを行なってみることにした(タデアイは7月から9月下旬までの間に2回収穫できるということである)。
あまりいい場所に植えたとは言えないが、でも一応このような感じで茂っている。 せっかくなので、刈ったばかりの葉を使って、生葉染めというのをやってみよう。 生葉染めは、新鮮な葉が必要だから、自分で植えてこそできる染め方であります。 ネットの情報もいろいろ見てまわったけど、基本的に『つくってあそぼう 藍染の絵本』と『そだててあそぼう アイの絵本』を参考にしております。実践する上での詳しい注意事項等については、それらの本を参照願います。 とりあえず、刈り取り前に、素材のシルクとウールを、中性洗剤を入れてお湯に浸けておく(その後、水でよく洗う)。 で、アイを取ってくる。根本から1~2センチくらいのところで、切るとか、書いてありました。 葉っぱだけを使う。 茎も染料として使えるそうではあるが、今回は葉だけで。 本の指示通り、700mlの水に、生葉50gにて、ミキサーで1分ほど粉砕。 一応、ガーゼで濾して、葉っぱのカスを除いております。 抹茶みたいに泡だった、緑色の染液ができるので、そこに準備しておいた布を浸す。 ちゃぽちゃぽと浸けているうちに、空気に触れたせいか、青くなってきた。 太陽に当てながら、屋外で空気に触れさせ、その後、しっかり水洗いする。 で、こんな感じになりました。 生葉での染めは、薄い水色程度と聞いていたけれども、予想していた以上に鮮明な青である。 生葉染めは、絹やウールなど動物由来繊維には、この手順で染まるのだけど、綿、麻などは、還元剤等が必要となる。 やはり最初は動物性の繊維で試みるのが手順としては順当かと思われる。 |