2011,06,19, Sunday
水彩絵具の媒材としても知られるアラビアゴムの採れる木は、アカシア属のアラビアゴムノキ、代表的なものはアカシア・セネガル(Acacia senegal)というのだそうであるが、アカシア属は関東以北では育たないそうなので、東北在住の当方では栽培は難しいと思われる。しかし最近はかなり蒸し暑くなってきたので、植えてみたら案外いけるかもしれないが、アカシア・セネガルの苗木というのは売っているのを見たことがない。ミモザアカシアはどこでも売っているが、セネガル以外のアカシアでも似たような水溶性のゴムは採れるのだろうか(ちなみに北海道など北の方でもアカシアというのが植えられているけど、それはニセアカシア)。
で、先日、『縄文人になる! 縄文式生活技術教本』なる書物を読んでたら、古代絵具を作るというくだりで、サクラやクヌギの樹液が水溶性であり、顔料を定着したりすることができる、みたいなことが書かれていたので、さっそく近所の桜の木をまわって、樹液を集めてきた。 近所の農業用貯水池のところに生えているサクラの木。 樹木からなぜ樹液が出てくるのか、というその理由は、ケースバイケースで、不明な点も多いと聞くが、主たる理由としては、樹皮に傷が付いたところを守ったり修復したりするために出てくるというのであろう。そんなわけで、樹木に傷を付ければ溢れ出てくるけど、大概の木は、よく観察するとどこかに傷がついており、そこから樹液が出ているもので、少量集めるなら、改めて傷つけるほどでもない。新鮮なのを集めるなら別かもしれんけど、ひとまず、すでに出ているものを集めることにした。公園とか誰の敷地かわからないところで集めるときは重要なポイントである。 このような感じで、探せばあちこちに出ております。 こういうのをつまんで取るわけですが、 中の方は、こんな感じで粘っこかったりする。 湯煎して水に溶かせば、固いのでもいけるようであるが。。 ちなみに、手についた樹液は、すぐに乾いて指にこびりついてしまった。なかなかの粘着力であり、しかもすぐ乾いてくれる。媒材として期待できそうである。また、冷水であっさりと洗い流すこともできた。ダンマルを溶かしたのは水で落とすのは難しいが、こちらは水であっさりと流れ落ちる。これがレジン(樹脂)との違いというものだろうか。とはいえ、自分が普段触れる樹脂、ゴム類はごく限られた種類でしかないので、もっといろいろ経験を積みたいところである。 サクラにもいろんな種類があると思うので、別の場所からも採ってみるため、近所の山に行った。 ここでもありますなぁ、樹液。 まぁ、こっちは、うまく接着できなかったですけど。 これ、溜め池近くのサクラで取った樹液。 で、水に浸けて一晩ふやかしたのち、湯煎して溶かす。 顔料(レッドオーカー)と混ぜて、画用紙に塗ってみた。 紙も貼付けてみたが、ごらんの通り。 紙同士がちゃんと接着されており、剥がそうとすると破れた。ということは、紙の接着に充分なくらいの接着力はあるということになる。 ちなみに、湯煎する前の混濁液では、さっぱり接着されなかった。 顔料の方であるが、 どっちもサクラの樹液を湯煎で水に溶かしたものだけど、左の方はよく接着されており、ティッシュでさすっても顔料が落ちない。右は残念ながら、ティッシュに顔料が付いてしまう。桜の品種によって違うのか、それとも、樹液の老化等で違ってくるか、まだまだわからぬことが多いけど、とりあえず、桜の樹液で顔料を定着させることには一応成功した模様である。サクラは日本では町中どこかにあるものなので、実践の際は、複数のサンプルを採取して行なうといいかと思う。 |
2011,06,12, Sunday
注:ポピーオイルの原料の「ケシ」じゃなくて、ヒナゲシという点にご注意ください。
ヒナゲシは花が終わると、種の袋が残るんですな。 しばらくすると、熟して種がばらまかれるそうであるが。 ↓少し乾いてきた種の袋。 ネットで「ケシ 種」or「ケシ坊主」で種袋を画像検索すると、すごいまるまると膨らんだボール状の袋があって、なかなかの迫力だが、私の見付けたヒナゲシは、細いっす。ヒナゲシの種はこんなもんすかね。 ちなみに、「ケシ」の場合、熟していない種の袋からでる液に麻薬成分が含まれるそうで。種の方には毒はないので、あんパンの上にのせられたりと、食用されている。菓子の材料として販売もされているけど、炒るなどして発芽能力は消されているそうである。炒ったものからでも、搾油できるのだろうかと疑問に思っていたが、搾油の本を読んだところ、むしろ炒った方が搾油しやすいそうで。 ちょっと振ると、種がどんどん出てくる。 破いてみたんですが、すっごい入ってますね。 種は、微妙に青っぽい。ブルーシードっていう菓子用ケシ種買ったことありましたが、それと似ている。 ヒナゲシの花、1本放置したら、翌年にはどっさり生えてきそうである。 あんパン等の上に載せる、「ケシ」の種と非常に似ているけど、やや小さいというか、直径が半分ぐらいである。 |
2011,06,06, Monday
膠液は70度以上に熱すると接着力が落ちる、沸騰させると著しく接着力が損なわれる、また、逆に0℃以下では水が凍ることで膠の組織が破壊され接着力が損なわれる、という記述が多くみられると思いますが、実際に沸騰させた膠液や、冷凍させた膠液を使用するとどうなるのだろうかというのを試してみました。
なお、橋本弘安(著)『絵画材料の小宇宙』を読んだ際に「にかわを調べる」という特集で、「沸騰とゼリー強度の変化」という欄があり、それがわりと意外な内容だったので、それ以来ちょっと気になっていた、というか、触発されたという面もあります。 しかし、ここでは、アバウトな感じで、接着剤として使用に耐えるかどうかを試してみようかと。 膠は粉末の兎膠を使用、適温で膠液化した後、防腐剤を滴下しています。 まず、ゲル化した膠液をラップにくるんで数日間、冷凍庫で凍らせました。 それを湯煎で溶かして、2枚のベニヤ板を貼り合わせる。 次に鍋で10分ほどグツグツ煮た膠液を使って、先ほどと同じように2枚のベニヤ板を貼り合わせる。 水がかなり蒸発して膠液が濃くなっているように思ったので、水を足した上で使用しました。 比較のため、通常の温度で溶かした膠液で接着したサンプルも用意しておきました。 その後、数日乾燥させ、強度を調べるために素手で剥がそうと、力いっぱい努力しましたが、すくなくとも素手では無理というぐらいには、接着されています。厳密に接着力を計測した場合は、いろいろと変化があるかもしれませんが、普通に使用している状態では、その接着力の強弱に気が付くかどうか、微妙なところか。もちろん、長年語り継がれてきたことには、何か理由があると思うので、適温で湯煎して使用するのがいいと思いますが。 次は腐敗すると接着力が落ちるか、という実験をやってみたいところですが、ちょうど梅雨から夏という、膠には酷な季節になるで、やってはいけないことをやるという感じで、どのような結果になるか見てみたい気も。 ちなみに個人的には、腐敗を恐れて防腐剤は必ず滴下し、温度管理はそれほどでもなくて、膠液を使用する際に温度計でチェックするということもやっていないです(ホームページの記事では、解説上必要なので、ああなってはいますが)。まぁ、いくら火を強くしても、湯煎なら沸騰するようなことにはならないと思いますが。 |
2011,06,05, Sunday
先日、プランターにマダーの種を植えたけれども、オランダ産とあったので、おそらくはセイヨウアカネなのかと思われるので、せっかくだから日本茜の方も植えておきたような気がして、苗を買ってみた。
半日陰が適するということなので、それっぽい塀のすぐ内側に花壇を作って植えてみた。 鉢に植えた方が、根を取り出しやすいかもしれないと思って、一本は鉢植えに。 日本で全般的に生えるものらしいから、おそらくは問題なく繁殖するかと思われる。 |
2011,05,01, Sunday
伝統的というか手工業的な製法の膠を「和膠」、工業的な製法のものを「洋膠」というらしいけれども、和膠作りは部落産業だったようで、下記のような論文が閲覧できます。
http://blhrri.org/info/book_guide/kiyou/ronbun/kiyou_0154-04.pdf 東北生まれの私には「部落」という言葉は、「集落」ぐらいの意味しかなかったため、その辺の事情に関して理解は難しいのですが、手工業的な膠作りの具体的な方法が記述されている例が、日本語ではわりと少ないような気がするのは、そのような面もあるんでしょうか。 日本画の材料に関する本では、職人がこんな感じで作っていますという記述はたたみかけるけど、自分でふつうに膠ができますよ的なものは少ないかと。 英語で検索すると、わりと簡単にさらっと、作り方の記述が多数見つかったりするんですけどね。 どっかのおっさんが膠を作ってみた的な動画も見付けたりしました。 http://www.youtube.com/watch?v=vjBT7WOAuLE 先史時代から膠は壁画などに使われていたでしょうけど、何かの動物の骨とか皮とかあれば、膠を準備できたであろうなぁ、と考えると、まぁ、もっと簡単に考えていいような気がしないでもない。 で、私は最初テオフィルスの技能書で膠作りの記述を発見し、これならわりと簡単にできそうだと思ったわけです。 --引用開始-- 生皮および牡鹿の角の膠について これが注意深く乾かされたならば、同じ生皮の同様に乾かされた切片をとり、こまかく刻め。そして鍛工の鎚で鉄床の上でこなごなに砕かれた牡鹿の角をとり、新しい壺の中にその半ばになるまで(刻んだ生皮と)配合し、それを水で満たせ。こうして、しかし少なくとも沸騰しないようにしながら、その水の三分の一が煮つめられるまで、火にかけよ。そして汝は次のように試せ。即ち汝の指をこの水で濡らし、指が冷えた時、もし粘着するならば、膠はよい。しかしもしそうでなければ、〔指が〕互いに粘着するまで煮よ。その上でこの膠をきれいな容器に注ぎ、そして再び壺に水を満たして前のように煮よ。このように汝は四度まで続けよ。『さまざまの技能について』中央公論美術出版より --引用終わり-- この例では牡鹿の角を使っており、替わりに羊角なんぞを入手してみたりとかしてたんだけど、それについては後日機会があったら述べるとして、まぁ、膠って言えば、真っ先に思いつくのは家畜の皮じゃないすかね。 皮というのは、放っておくとガチガチに固くなってしまうので、タンニンやその他の薬品で「鞣し」という加工を行ない、それによって、いつまでも柔軟性のある「革(レザー)」というものになるわけで、その革は各種革製品になっていたり、クラフト店で素材用の革として売られているので、どこでも買えるけど、膠作りに使うのは革じゃなくて、生皮、いわゆるローハイドでしょうなぁ。まぁ、鞣してあっても使えるかもしれないけど、着色されたりいろいろ加工されているでしょうから。 ちなみに、チェンニーニには、羊皮紙の切片なんかを使ってた方法が載ってような記憶があるけど、現代のアトリエで羊皮紙の切片が発生するような状況はほとんどないと思われるので、却下ですかね。 で、革じゃなくて、生皮というのは、いざ買おうと思うと、意外と売ってないもんでして、太鼓用の皮とか買おうかと思ったけど、けっこうな値段がするので、私のテキトー実験にはもったいない。とか思っていたら、近所のホームセンターのペット用品コーナーで、犬用おやつの牛皮(ローハイド)が売っていたのを発見。さらに、牛の蹄とか、その他家畜の耳やらアキレス腱やら、膠の素材にできそうなものがいろいろ売っておりました。 とりあえず、牛皮を骨の形に縛ったものと、牛の蹄を買ってきた。 で、しばし水に浸けて柔軟にさせる。 この時点で、牛の蹄は、ハサミで切るなどして、細かくしておけばよかった。 膠は、沸騰させてもいけないし、0度以下にしてもいけない、ということで、微妙な温度の熱水で抽出するのだけど、グリル鍋の「保温」モードで温め続けてみることに。ツインバード製のかなり使い古したグリル鍋であるが、「保温」にしておくと、中の水の温度はおおよそ80度前後を維持していた。ちょうど良い。 それにしても、臭い。ものすごく、臭い。 いろいろ臭い材料で実験を繰り返してきたけれども、これほど臭いものは初めてである。 というわけで、鍋を室外に出して、それを窓から眺める。 数時間経って、牛皮はすっかりとろけてしまった。 これ、ゼラチンで作ったまがい物皮ということはないですよね。 なお、後々確認したら、水じゃなくて、石灰水って書いてある文献が多かった。 水がだいぶ減ってきたところで、ガーゼで濾しつつ、 タッパに入れる。 この状態で乾燥を待てば、板膠みたいになるんじゃなかろうかと。 なお、濃い膠液であるが、水分の量が多いので、乾燥時にはこの状態よりかなり薄い板になるであろう。 ↓その後、2日経って、だいぶ乾燥が進んだけど、まだ、やわらかい。 というわけで、すっかり乾燥したら、また画像を挙げてみたい。 もちろん、現段階では膠として機能するかどうかも、まだ未検証です。 膠作りに詳しい方がいらっしゃいましたら、些細な情報でもいいので、コメント欄にご投稿ください。 ■2011/05/14追記 その後、2週間ほど経ちましたが、無事乾燥した模様で、ばっちり固くなっております。 予想していたより肉厚の板になったので、少々使い勝手が悪いかも。次回はもうちょっと薄い板になるようにしたいところ。それと、ご投稿頂いたコメントのように、網やザルに移して上下満遍なく乾燥を進ませれば、もっと平らな板になったのかと。以上が反省点。 色は三千本より濃いめのようだけれども、石灰等での処理をしてないからか。三千本以外の膠ではこのような色はわりとよく見られるので、本来このような色なのかもしれない。原材料の皮はどちらかというと白に近いものだったのが、膠にしたときに、このような色になるというのは興味深い。さて、実際にこの膠を使用してこそ、全行工程が無事済んだことになると思うのだけど、これをすぐに湯で溶かして使うというのもどうかと思うので、一年以上、そのまま在庫した上で、その後、実際に使ってみようかと思うところです。 |
2011,04,03, Sunday
油の精製において、白土濾過によって不純物や色素を取り除く話はよく聞くけれども、炭に吸着させるというのはどうなんだろう、炭の多孔っぷりは凄いし、泥水なんかも綺麗にするし、などと考えながらスーパーで食用油を見ていたら、日清食品のキャノーラ油が活性炭による精製云々と書かれていたりした。
詳細下記参照。 http://www.nisshin-oillio.com/company/rd/dokuji/gijutu_03.html 活性炭ってどこで買うんでしょうかね。ネットでは、水槽用みたいなのがけっこう売っているけど。そう言えば、昔、24時間風呂の機械を使ってて、替えの活性炭が見つからなくて困ったことがあった。それはともかく、宮城県はまだ気軽に通販とかできる物流状況じゃないので、百円均一で水道の蛇口に取り付ける浄水器を買ってきて、それをバラして活性炭を手に入れてみた。 比較用として、和光純薬工業(株)の活性白土でも同じことをやってみる。 で、小瓶に未精製亜麻仁油と活性炭、または活性白土を入れ、よく振ったのち、沈殿させてみた。 活性白土は相変わらず強力っすね。 活性炭は役に立ってないように見える。 百均のやつだからだろうか。 次は、このまえ自作した炭でやってみよう。 |
2011,02,24, Thursday
西洋中世の写本にも使われたというタンニンと鉄のインク。西洋ではタンニンにオークのゴール(ナラの虫こぶ)が、鉄には、硫酸鉄(緑礬)が使われたようである(『色-世界の染料・顔料・画材 民族と色の文化史 』)。このインクが西洋文明にとってどれほど重要であったかは、ウィリアム・ブライアント・ローガン(著)『ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史』を参照されたし。
↓こちらのページで作り方を紹介されています http://www.youhishi.com/manuscriptmaking.html こちらでは、ヌルデの虫こぶが使用されていますが、染料の為のタンニンとしては、日本ではヌルデの虫瘤が有名です。ヌルデの虫こぶは個人的に好きな染料なので、ときどき染液を作って、Tシャツなどを染めていまして、その件については下記を参照ください。 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=470 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=832 黒い染料とするには、硫酸鉄を入手するか、あるいは鉄クギと酢で鉄媒染液を作るなど、それなりの手間がかかるのだけど、先日読んだ『たのしい科学あそび 鉄の実験』という本で、お茶とスチールウールでインクを作るという、非常に簡単な実験が紹介されていたので、今回それをやってみることにした。この本に掲載されている実験は、しごく簡単な手順だけれども、ここでは、さらに思い切って極限まで簡略化してみた。 緑茶を濃く入れる。 スチールウールとひとつまみの塩を入れて、箸で掻き混ぜる。 すぐに黒い液体になるが、これで既にインクは完成である。なんとも簡単。 箸で文字を書いてみた。 最初は薄いけれども、少し経つとちょっと濃くなる。 Gペンで書いてみた。 タンニンは渋味の成分で、お茶にも多く含まれているから、べつにお茶でもよかったのか。鉄はスチールウールでもいいと。 万年筆のブルーブラックも鉄とタンニンのインクらしいですね。 |
2011,01,13, Thursday
『たのしい科学あそび 炭と墨の実験』なる本を県図書館の子ども図書室から借りてきたのだけれど、なかなか侮れない内容である。クッキーやコーヒーの缶で炭を作る方法も紹介されていたが、先日木炭を作ったときの様子と非常に似ており、そんな感じの実験がイラスト付きで多々紹介されている。ちなみに缶を使った炭の作りの際、フタに開けた小さな穴からガスが出てくるのだが、私はそのまま放置していた、あるいはむしろ火が着かないように気を付けていたのだけれども、この本によると、そのガスに火を付けて燃やしておくと部屋に煙が充満しない、というアドバイスが。。まぁ、私の場合、ガレージでやってたので、そんなに気にするほどのことでもなかったけど。
それはともかく、ここ数週間で集めた炭やら煤やらを触っていると、同じ炭素の黒でも、両者はずいぶん性質の異なるものであることを実感しつつあります。 先日作った骨炭、ちょっと思うところあって、水洗いしたり、水簸したりできないかと水に入れてみたのだが、鉱物顔料みたいにすぐにではないけど、一晩ほど待つと、顔料が残らず底に沈む。 これは膠などの分散を助ける媒質がないので、分散液を長く保っていられないという理由もあるかもしれないが、『炭と墨の実験』によると、炭を砕いた粒では大きすぎて、膠液だったとしても、やがてはみんな底に沈んでしまうということである。墨(煤)ならば、より粒子が細かく、分散状態を保つことができ、いわゆる墨汁などを作れるという。 で、先日集めた亜麻仁油の煤も水と混ぜてみる。 このように、水と煤だけでは、反発しあってうまく混ざらない。煤が寄り集まってよれよれの塊となる。 面白いことに、水の下じゃなくて上に溜まった。 分散液を作るためには膠やPVAなどの媒質がなければならないとのこと。ちなみに、膠液は使ったことのない人には準備に手間取るからか、『炭と墨の実験』の中では洗濯糊、いわゆるPVAを使う感じでまとめられている。 私の場合は、アラビアゴム水溶液を投入してみた。 おお、それなりに混ざりあってるではないですか。 しばらく待っても、とくに分離するという様子もない。 まぁ、膠液を加えて団子にした墨を練るなどしたら、たぶん、もっと綺麗に分散するとは思うけど、団子にするほどの量の煤は採れなかったしで。 試し塗りしてみたんですけど、べつに悪くないんじゃないでしょうか。 それにしても、触っていて改めて感じたが、炭は意外とあっさりしていて、手が汚れにくいし、汚れても洗えば綺麗に落ちるけど、煤は手や衣類が汚れると、非常にしつこくて石鹸で洗ってもなかなか落ちない。しっかり手を洗ったつもりでも、こうやってキーボードを叩いてると、2万円近くもした東プレのキーボードが汚れてしまったりする始末。 |
2011,01,05, Wednesday
鶏の骨を焼いて、ボーンブラック(骨炭)を作る実験の続きである。
■前回 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=852 前回は焼きが不十分な気がしたので、さらに何度か繰り返して焼いてみた。 ようやく真っ黒になった。 よく見ると、灰になってる部分も多少無きにしもあらずであるが。 乳鉢で摺り潰す。 スクリーンメッシュで濾す。 で、完成した黒。 部屋の中で見ているときはそこそこ黒いと思っていたが、直射日光下などの明るいところで見ると、微妙に赤茶っぽい色である。アンバーよりは黒いが、黒よりは茶色。市販のアイボリーブラック顔料と比べても、微妙に茶色い。 これは、焼成温度が低かったことが原因ではないかと思われる。植物炭の場合も、素材の種類によってという以前に、温度が足りないと赤味が強くなるという話も伺ったし。アルミホイルで包んで熱するというのも、あまりいい方法ではなかったかもしれない。アルミホイルは強い火だと燃えてボロボロになるし、ブリキ缶などを使って、憂いなしにガンガン加熱してやるのがよかったか。 せっかく作った黒だけど、植物炭の場合はともかくとして、動物の骨の場合は、腐敗やカビの原因にならないかという心配もあるので、本制作では使わないでおこう。 |
2010,12,19, Sunday
前回、集めた亜麻仁油の油煙(ランプブラック)、かき集めて瓶に入れてみたが、すっごい少なくて、しょんぼりである。
前回:http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=853 試しに使うにしても、もうちょっと必要ですなぁ。 というわけで、今度はアルコールランプを使ってみた。 しかし、植物の油脂だと浸透するのが遅れるのか、芯の空気に触れている部分がほとんど燃えてしまい、最後のちょっとだけの芯で燃えるような状態になってしまう。 消えることはなくて、何時間でも燃え続けるが、火は小さい。 3時間かかって、これだけ。 やはり、数が重要であろうということで、お皿のランプに回帰、皿を2つに増やし、それぞれ3本づつ、計6本の芯でいってみる。 油煙の受け皿が、ちょっと近すぎるかも。 遠い方が、キメの細かい顔料が得られるそうですが。 芯が6本にもなると、ガンガン煙が出てくる。受け皿も熱くなる。 こんぐらい集まった。 クリームスクレイパーでかき取って、瓶に集めてみた。 この方法で、皿を倍に、あるいは3倍に増やせば、一気に集まりそうである。 ↓こんなことができるぐらいに集まればいいですなぁ。 |