2011,12,28, Wednesday
前回、布で包んで素手で圧搾するという方法により、胡桃から油脂を採りだした。
http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1040 種子から油を取り出す方法としては、絞り出す圧搾の他に、溶剤で油を溶かしてとりだし、溶剤を揮発させて油脂を得るという方法があるそうで、この溶剤による抽出の方がはるかに多くの油を取り出すことができるということである。文献等で油脂抽出で使用する溶剤として見かけるのはヘキサンである。ヘキサンはとりあえず別途入手してみるとして、試しに手元にあるテレピンでやってみようかと思う。なお、油脂の搾油・抽出を理解するための個人的な勉強としてやっているものでありまして、記事の内容は正確性に欠ける点が多々あるかと思うから、その点はご理解の上で読み進めてください。 先日、ヒマワリのタネでも溶剤抽出をやってみたけれども、そのときはエタノール(アルコール)を使用した。 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1038 感想としては、アルコールの場合、水との親和性も悪くないから、油脂の他に水溶性の不純物もより多く含まれてしまうような気がした。抽出した油と顔料を混ぜて試塗してみたが、普通なら数日以上かかるであろう未精製オイルの乾燥が、1時間後には乾いて定着するという予想外のことが起こってしまった。これは水溶性の粘性物質が水分の蒸発で固化したんじゃないかとか適当な考察をしたりしてるのだけど、その辺もいろいろ試しているうちになんとなくわかってくることも多いでしょう。普通テレピンは抽出用の溶剤にはまず使わないと思うけど、試しにやってみるということで。なお、いずれの溶剤で抽出しても、自分で溶剤抽出した油は食用には絶対使えないでしょう。単純に搾って搾油したものは飲んでも全く大丈夫だと思いますが。 さて、手搾りによって搾油した後の胡桃の残滓を器に入れ、そこにテレピンを注ぐ。 ラップをして30分くらい浸ける。 と思ったのだが、うっかり眠ってしまって、数時間が過ぎてしまった。 で、布で濾して胡桃を除き、テレピンと共に油脂を器に注ぐ。 その後、テレピンを完全に揮発させれば、溶剤に溶けていた油脂(および若干の不純物)が残ると思われる。 テレピンは普段画材として使っているとは言え、あまり身体によくないものであるから室内で揮発させるのもなんだと思って、外の軒下に置くことにした。それにしても、テレピンは画材として薄く塗布すると揮発が速いものであるが、こんな感じで器に入れたテレピンというのは、そんなに早々と揮発して無くなるというものでもないですね。それと、たぶん気温が低いと溶剤の揮発は遅くなるのではなかろうか。ヘキサンやエーテルを使用する場合でも、温度を高くして揮発させるようである。 というわけで、一日経ったけど、まだテレピンは残っているようである。 やってみて思ったんですが、テレピンはやはり向いてないかも。ペトロールでも試したところであるが、ペトロールはたまたま切れている。しかし、やってもそんなに意味はなさそうである。とりあえず、ヘキサンを入手し、ちょろっと試して、溶剤抽出に関しては終わりにしたい。個人が油脂の溶剤抽出するというのは、食用にせよ画材用にせよ、そんなに意味あることとも思えないので、ひとまずは抽出に関する触り程度の体験ができればよろしいかと。圧搾による搾油は、食用ではやってみて損はないかと思われる。自分で搾った胡桃油など、その場で使う場合はとっても美味しいかと思われる。画材としてどうかという点はやってみないとわからないですな。やってみたら実は簡単に亜麻仁油とか搾れたってことになるかもしれないし、いくつかの原料、方法等で暇を見て試してみたい。ちなみに年内にやっておきたいこととして、搾油と蒸留がテーマであったけど、蒸留は年明け以降ですかな。年末年始にかけては地味に油搾りの作業でもアップロードしてこうかな、と。 -- 2012/01/02 追記 -- その後、数日放置していたら、テレピンがそれなりに揮発していったのか、いかにも油脂といった状態になってきた。 下に残っている茶色いものは、胡桃のカスとかだと思われる。そう言えば、スタンドオイルの「スタンド」には置く、という意味があったと何かで読んだような気がするけど、単に置くというのも大事な精製工程なのかもしれません。置くと、不純物やゴミが落ちたりして精錬されるというか、単に置くだけで良いものになるとか。 これはこれでアリなのかもしれない。 圧搾で機械的に搾油し、その残滓に残っている油脂をさらに溶剤によって抽出するという一連の過程を体験することができた、と思ってよろしいでしょうか。 |
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