【染料】スオウとコチニールで赤いシェラックニスを作る【木工】
前回、スオウとコチニールをアルコールで抽出したところまでを書いたけれども・・・、

■スオウ及びコチニールをアルコール抽出してみる
http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1107

2日ほど過ぎて、スオウの瓶の方も液が随分赤く、というかドス黒くなってきたので、両者ともフィルターを通して残留物を取り除いた。
シェラック、スオウ、コチニールのアルコールニス

スオウとコチニールは色素としての役割しかないであろうから、ニスの本体として、シェラックフレークを溶かすことに。
シェラック、スオウ、コチニールのアルコールニス
重量比で、シェラック20g+コーパル10gに対し、スオウで色づけしたエタノール40g、コチニールで色づけしたエタノール50gを投入。

よく振って、シェラックとコーパルを溶かす。
シェラック、スオウ、コチニールのアルコールニス
シェラックの方は数時間ほどで、コーパルも1日経過すると、だいたい溶解している。今回は試験的に消毒用エタノールを使用しているけど、無水アルコールなら、もっと綺麗に溶けてくれるであろう。コーパルはゴミが付いているので、本当はフィルターを通したいところだけれども、今回は省略。振ったときの泡がとっても赤い。

では、さっそく何か木工品に塗布してみるとして、理想としては木目の綺麗なちょっと高級な板に塗るべきなのだけれども、実習利用時の予算的都合を考慮して、安くて、サイズの小さなものを選択。
↓これ「木彫印かん小箱ミニ(しな材)」
http://item.rakuten.co.jp/bicosya/30024/
シェラック、スオウ、コチニールのアルコールニス
彫刻刀等で木彫してから彩色したりニスを塗ったりして仕上げる教材で、定価¥380(実売はもっと安い)。

たんぽで塗るか、刷毛で塗るか、微妙なところである。とりあえず、刷毛で塗ってみよう。
シェラック、スオウ、コチニールのアルコールニス
刷毛塗りの場合、ニスが飛び散ると被害が甚大なのでご注意ください。大きなダンボール箱の中などで塗るといいかと。

一回目の塗りでこんな色に。
シェラック、スオウ、コチニールのアルコールニス
このニスは紙に塗ると、コチニール的なピンク色になるのだけれど、木に塗るとオレンジ色になるんですな。木材の色が影響しているということか。スオウが入っていなければ、もっと赤かったかもしれない。または、シェラックの色も影響しているかもしれない。なお、横山進一著『ストラディヴァリウス』には「・・・赤い色にちなんだ銘を持つストラディバリウスが数本ある。だが、つくられてから二五〇年、三〇〇年経った現在それらを見ても、赤に見えることはない」という件があり、麒麟血の経年変化ではないかと予想されている。スオウは著しく耐光性が悪いので、スオウで塗ったら尚更早くニスの色の変化が体感できるかもしれない。

本来は、しっかり時間をおいてから次の層を塗った方がよかれと思うけれども、実習で採用する場合は、時間的な都合で難しいであろうから、適当な頃合いを計りつつ、2時間弱の内に3層塗ってみた。アルコールの揮発にはそれほど時間はかからないので、塗ろうと思えば、もっと塗れなくもない。とくに最初の内は木材に吸い込まれる分もあってか、わりと早いペースで次を塗布できるかも。
というわけで、3層塗って以下のような状態に。
シェラック、スオウ、コチニールのアルコールニス
ちょっと光沢がでてきている。時間に余裕がない場合は、これで終わりでもいいかもしれない。

その後、乾燥期間など全く考慮せずに、アルコール分が揮発したかと思われるタイミングに合わせてどんどんニスを重ね、十数回塗ってみた。
シェラック、スオウ、コチニールのアルコールニス
色に深みが出てきたような気がしないでもない。木目が綺麗な素材だったら、けっこう見栄えがしたかも。

| 絵画材料 | 10:54 PM | comments (0) | trackback (0) |










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