2014,11,25, Tuesday
前回、ラピスラズリを砕いて粉末化したところで終わりました。
細かく砕いて顔料にしましたが、灰色の不純物が多く含まれており、砕いただけは、写真の通りで、濃い青には見えません。 この中から青い部分を取り出さなければならないのですが、中世の画家であるチェンニーニが書き残した方法で行ないます。一言で説明すると、松脂などの材料でつくったパテに顔料を入れ、熱い灰汁の中で練っていると、青い部分だけ外側に出て、器の中に溜まるという方法です。 従って、今回の工程はパテづくりです。パテの材料は松脂、マスチック、蜜蝋です。 前回より参照している金沢美術工芸大学の論文では、重量比にて下記の通りと書かれています。 ラピスラズリ:4 松脂(バルサム)2 マスチック:1 蜜蝋:1 論文では、松脂をロジンとして進めていますが、当サイトの掲示板にて、かつてmiyabyo氏がロジンではなくバルサムではないかとコメントしており、確かに理にかなっていると思われるので、バルサムで実行してみます。 実は、この件は既に画家の鳥越一穂氏が、ブログで書かれていますので、ほとんど後追いでの検証になります。 鳥越氏と同じ処方になって心苦しいところもありますが、わかりやすく以下の重量で試してみます。 ラピスラズリ:4g 松脂(バルサム)2g マスチック:1g 蜜蝋:1g 松脂(バルサム)ですが、画材店でヴェネツィアテレピンの名で売っているのですが、よく観察するとメーカーによって粘度が異なります。成分表を見ると、どうもガムテレピンを再投入して柔らかくしているようなものもあるようなので、手元にあるのを見比べて、高粘度のものにしました。柔らかすぎるとパテになるまで、ガムテレピン成分を揮発させねばならず、処方が変わる恐れもあるので。 ラピスラズリ粉末は、11g用意してあるので、2回ほどパテづくりをしてみたいと思います。 小さなステンレスボウルに材料を全て入れたところです。 保温プレートの上で熱します。 保温プレートは、ほんとに保温程度の温度しか出ないのですが、軟質樹脂くらいは溶かすくらいの温度になります。 松脂は誤って火が着くと、黒煙を吐きながらすごい勢いで燃えるので、安全面も兼ねて、こちらでやってみたのですが、でも実はマスチックが溶けてくれるかは、ちょっと心配でした。 無事、溶けて混じりあっているようです。 保温プレートから下ろして、冷めるのを待ったのち、プラスチックのナイフで掻き取りつつ、丸めていきます。 このようなパテができました。 重さは6gです。 2g減ってますが、ステンレスボウルに残った分と、若干テレピンが揮発した分かもしれません。 2回ほど実施。 2回目では、うっかり松脂を1g多く投入してしまいましたが、そのせいで、パテが柔らかすぎて、まとめるのがすごく大変でした。バルサムを使う際は、多めに入れてはいけないと思います。また、充分さめて、ちょっと固くて取りづらいかな、という頃合いに取り出してパテにした方が、指にまとわりつかなくていいと思います。 次回は、いよいよこのパテから青い顔料のみを抽出する、という工程になります。
| 絵画材料 | 05:58 PM | comments (2) | trackback (x) |
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