2016,12,15, Thursday
■ダンマル/コーパル/バルサム #8 テレビン・エタノールへの反応(後)
動画ではランニング処理済のコーパル樹脂が無事テレピンに溶解したところです。動画のネタに試しにやった程度でしたので、正確な分量などは量っていなかったのですが、かなり少量を溶かしたにもかかわらず、真っ黒いワニスが出来ました。コーパル系画用液はかなり黒くても、それほど多くのコーパルが入っているというわけではないのでしょう。しかし、この黒い色をした画用液を使うわけですから、やはりランニング処理には大きな意味があるのでしょう。 コーパルがアスピック油(スパイクラベンダー油)に溶解するという話もしております。その後、鳥越さんも私もいろいろ試してみたいのですが、アスピック油に溶かしたものは、乾性油と混ざらないという現象に悩まされて、油彩用画用液を調合するには至っておりません。不思議なことに、乾性油に混ぜると、コーパル樹脂と思わしき成分がゼリー状に固まってしまうのです。なんとも不思議なことです。コーパルとダンマルに違いについていろいろ考えさせられますが、個人的にもっと気になっているのはスパイクラベンダーオイルです。これほど不思議なものもありません。テレピンともペトロールともまるで違う溶剤です。ダンマルとコーパル両方を溶かすというのも不思議ですが、いったいこれは何なのか、ただ単にいい臭いのする高級溶剤と思って、油彩画に使用するものでもない、何か明確な意図があって採用するべきものかと思います。というわけで、いつかは溶剤の動画も撮ることができたらな、とは思いますが、なかなか勉強が追いつきません。しかしまぁ、とりあえずは、樹脂を突き詰めていきたいと思います。 鳥越さんはアスピック油溶解のコーパルを以下に混ぜるか探っていく過程で以下の論文を見つけて私に教えてくれました。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nikkashi1898/35/3/35_3_340/_pdf 昭和初期に書かれた論文のようですが、コンゴコーパルやザンジバルコーパルが塗料業界全体で主要な材料だった様子が覗えます。この頃、コンゴからのコーパルの輸出はピークであり、凄まじいトン数のコンゴコーパルが取引されていました。需要があり、安定した供給もあったのでしょう。そして、入れるとやはり塗膜が丈夫になったり、多大なメリットあったからこそなのでしょう。二〇世紀前半の油絵用の画用液や、技法書もそういう状況で書かれたのかと思うと興味深いものがあります。仮に今コンゴコーパルが安定供給されたとしても、合成樹脂が揃っている現在、塗料業界に与える影響はほとんどなさそうですが、それは仕方ないとして、今我々は現生樹脂のマニラコーパルをランニング処理したワニスを画用に用いていますが、半化石樹脂コーパルといかほどの差があるのか、その点も気になります。 |
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