随分前から自宅にオリーブを植えているのですが、そもそもの理由はオイルを絞りたかったから、という理由でありました。絵画材料の中でもメディウムに関心の高いわたくしは、一時期、さまざまの材料からの搾油を試みたことがありましたが、ふつうは植物油というのは種子を圧搾して得るものなのですが、オリーブの場合は果実から油が採れるのです。それは試してみたい。オリーブは非乾性油なので油彩画の媒材にはならないのですが、それでもまぁ、これは試しておかねばならないような気がして。と言っても、なかなかオリーブの新鮮な実を買えるという機会はなさそうだったので、苗から育ててみたのです。しかも結実するように、品種の違うものを2本。
それから何年経ったか、わからなくなってしまいましたが、そろそろ奮起せねばと思って、農文協の「オリーブの絵本」やら、ネットの情報を参照しつつ、搾油を試みてみました。なお、オリーブの搾油の件に関しては「オリーブの絵本」は実際にやってみると、内容に不明瞭な点があって、搾油に関しては他の資料をあたった方がよろしいでしょう。
というわけで、こんな感じで黒く熟した実がついております。
集めてみたところです。
そんなに多くありません。果たしてこんな量で油が得られるのか。なお、若干、青い実も混ざっていますが、あとからわかりましたが、なお、青い実は堅くて潰すのが難しいと感じましたので、黒く柔らかくなった、あるいは手でそっとひっぱるともげるくらいの実を採取するのがよいと思います。
厚めのビニールのパックに入れて、手で揉んだり潰したりしていきます。
1時間もかけてようやくこのくらいになりました。オリーブの濃厚な香りがします。
二重のガーゼで包んで絞ります。
さあ、出てきた液体ですが、分離して、油は上層にきます。
日の当たる場所で、分離を待っていましたが、以下のようになりました。
おそらく下層は水溶性の成分、上層は油、中間はなにかわかりませんが、何かの粘性物質でありましょうか。これは低温圧搾亜麻仁油を精製するときのと似てて関連性が気になるところです。
写真のようにごく少量しか油は得られなかったのですが、味見してみましたが、意外と苦くなかったです。まろやかな感じでありました。少量過ぎて風味まではコメントできないのですが。いずれにしても、古代ギリシアでオリーブオイルは重要な輸出品であり、そのための壺も人気の工芸品であり、という話ですが、種からよりはずっと絞りやすいとは言えるものの、やはりプリミティブな環境で植物油を得るにはそれなりの労力が必要であるなぁと感じました。