ヘマタイトを砕いて顔料(ベンガラ)にしてみる その1
酸化鉄の赤、日本ではベンガラと呼ばれるところの顔料を作ってみたいと思います。

なお、テキストしては以下の論文を参考にしました。
児玉大成「亀ヶ岡文化を中心としたベンガラ生産の復元」日本考古学12巻(2005)20号
https://doi.org/10.11215/nihonkokogaku1994.12.20_25

できれば赤鉄鉱くらいは自分で見つけてきたいところですが、鉱物採集の知識がまだ足りず、今回はネットで買った腎臓状ヘマタイト原石を使うことにします。


楕円的な丸みの形状を腎臓状と言うらしいです。ヘマタイトはさまざまの形状や色の鉱物があって、たぶん、ツルッとした感じのものが固いのだと思いますが、固いものだと硬度5を超えてくると思われます。かつては鏡状のものや、つるっとしたものなど集めて、今も手元にあるのですが、全く赤くないのですが、でも条痕色は赤いので、砕けば赤、またはすくなくともパープルっぽい赤くらいの顔料にはなるかと思われます。

前傾の論文では赤鉄鉱の頁岩を採集し、頁岩は固いので、そこに付着しているコークス状の赤い部分を使って縄文人がベンガラを作ったという論になっております。コークス状の意味は最初ちょっとわからなかったのですが、石炭のコークスではなくて、多孔質という意味のようです。

実は今回の腎臓状ヘマタイトもひっくり返して裏を見ると、多孔質そうな赤い部分があるので、ここを中心に使えそうな気がします。

さて、これまではハンマーや乳棒で砕いておりましたが、今回の原石はちょっと堅そうに見えまして(実際はそうでもなかったのですが)、縄文人と同じように、石で砕いてみたいと思いました。

自宅の庭石の中で平らな感じのものを選び、タワシやらクレンザーやらで、せっせと洗いまして、表面の汚れと藻のような植物を落としました。


で、写真のような丸みのある堅くて重くて、ある程度の大きさの石で摺り潰します。


まずは石の重さを使って上から叩き潰す感じで、ズシズシと潰します。

ハンマーでやるとどうしても飛び散ってしまうのですが、叩き用の石がそこそこの大きさだと、破片がどっかに飛んでいくようなことが少なくて、とても良い感じです。

ある程度砕いたところで、赤い部分だけ集めました。


この部分や柔らかいので、乳鉢と乳棒であっという間に細かくできます。


それから、腎臓状の黒い部分。

これもまぁ、細かく砕けば赤色になるとは思いますが、こちらは別に粉末化してみます。赤いコークス状部分よりちょっと堅いような気がします。

しかし、叩くときに使った石を、今度は体重をかけてハンドル操作風に左右に円を描いて擦ってみたところ、実に簡単に細かくなってくれました。


こんな感じであります。

概ね赤褐色になりました。先に砕いた赤いコークス部分を砕いたものより若干彩度が落ちてはおりますが、乳鉢もさらに砕けば差は縮まるかもしれません。それにしても、大きな石で砕くとめちゃくちゃ楽ですね。乳棒よりずっといい。ポットミルよりも短時間で済みそうです。これでマラカイトも砕いてみたいところですが、台の方の庭石が少々柔らかいので、堅い庭石を探さねばなりません。

そして、この後水簸に進むわけですが、件の論文では、土器で煮沸していたようで、そうすると鮮やかなものになるように読めるのですが、加熱しない水簸と何が違うかは気になるところです。200℃くらいで加熱すれば、赤色度は上がるかと思うのですが、お湯で煮るということは最大でも100℃なのではないか、という感じもありますが、とりあえずは鍋で煮てみたいと思います。

| 絵画材料 | 09:50 PM | comments (0) | trackback (0) |










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