ヴェルディグリと各種溶剤の反応を観察する
人工緑青について理解しようと、いろいろ試しているところです。

ヴェルディグリの性質を確認しようと思って、各溶剤に溶けるか溶けないか試してみました。自分でも緑青をさまざまの方法で生成しておりますが、とりあえずは、ZECCHIのヴェルディグリを使用してみました。

ヴェルディグリと言っても、いろんなものがありますが、これならば堂々とヴェルディグリであると言ってもさしつかえなかろうかと思います。

水、酢、エタノール、テレピン、乾性油(ポピーオイル)にヴェルデグリを少量入れて溶解するかどうかを観察しました。いずれも液体は8ml、顔料は1gほどで試しております。

酢に溶けるのまぁ、当然ですかね。わざわざ試すことでもなかった気がします。水、エタノールにも溶けております。テレピンと乾性油には溶けておりません。水性の技法では水に溶けて透明な染液風の色になり、塗った後乾くと再び顔料色になるという転換があるとしたら、絵の具としてはちょっと使いづらいかもしれません。油彩画ならば、問題なく使えるのかもしれません。

天然の緑青であるマラカイトと人工緑青であるヴェルディグリでは、水に溶けるかどうかという点が大きな違いかもしれません。これが日本画でマラカイトがいかなる時代も全盛な理由であり、油彩技法中心の15~18世紀ヨーロッパでヴェルディグリが見られる理由なのでしょうか。マラカイトは微粉末だと色が弱くなりますし、油彩画では粗い顔料は描画時の展性が悪くてリアルな描写の妨げになるということで、やはりヴェルディグリを採用するに至るのか。等の予想が立ちますが、まだ私の緑青への理解は道半ばなので、今のところさらっと思いついたところでありますが。

なお、自分で生成している粗製のベルディグリ各種も溶剤・媒材との反応を観察しております。

実際のところ、このようにしてみると、ヴェルディグリと言えども、染色で使う銅媒染剤と変わりはないようにも思えます。ただし、アンモニアで腐食させたものはちょっと違う変化を見せている感じもあるので、その辺を解明したら、どのようにして作られた顔料かも多少予測がつく可能性もありますね。もうちょっと試して観察してみたいと思います。

| 絵画材料 | 08:36 PM | comments (0) | trackback (0) |










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