2009,01,01, Thursday
酸性のガスによって、ウルトラマリンが退色したりする現象を無理再現する実験の続き。
まずは、前回の実験を参照ください。 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=501 前回の実験に比べて特に目新しいことはないが、あれからだいぶ経って、目に見えてわかるような写真が撮れたので、以下に掲載する。 実験の手順は、まず、小さな板にアクリルジェッソを塗り、試験するウルトラマリン絵具を塗る。ガラス容器に酢酸またはワインビネガー、あるいはレモン汁を注ぎ、直接サンプルが触れないように、陶器等を置いた上にサンプルを置きフタをする。あとはときどきサンプルの変化を観察する。 というわけで、まずはサンプルの試験前写真。 今回は比較の為にセルリアンブルーも参加。 で、先に説明したとおりの方法でガラス容器に入れる。 3ヶ月ぐらい経ったあとに、取り出したら以下のようになっていた。 あきらかに退色と黒変が見られる。ただし、ガラス容器を屋外に置いてたら、外気の温度変化によるものか、容器内の湿度が上がって、酸性のガスに触れさせるというよりは、もはや酸性の液体に浸したといっていいくらいに、サンプルに水滴が付いていた。いや、水滴というより、びっしょり濡れているという感じだった。フタに小さな穴を開けておくべきだったか。部屋に置いておいて、硫化水素ガスが発生して死んでたりしたらどうしよう、なんて心配して外に置いてたんですな、小心者で。そんなわけで、たぶん、液体が溜まっているところが退色、黒変したのかも。 それと、これまでは油絵具のみの試験だったけれども、水性の材料はどんな感じになるだろうかと思い、水彩絵具、ガッシュ、アクリル絵具の3点も試してみることに。 予想では、最も顔料の露出しているガッシュがいち早く影響を受け、次にガッシュよりもアラビアゴム濃度の高い水彩絵具、最後にアクリル絵具の順になるだろうと思っていた。 試験を始めたはいいものの、その後、すっかり他のことに気を取られて、観察するのを完全に忘れていた。無念。。。さらに、試験前の写真撮影まで忘れていたらしい。2ヶ月ぐらい経った頃か、試験したサンプルを取り出してみると、3種ともすっかり消え去ってしまっていた。油絵具ではこれほどあっさり消えるということはないので、油の膜に包まれているというのは、大気から防御としてやはり心強いと言える。とはいえ、極端な実験なので、実際の保存性の参考になるかどうかはわからないけど。 |
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