2010,03,12, Friday
ずいぶん前に、シルバーホワイトに各種乾性油等の媒材を混ぜて塗布し、どれくらい黄変するか見てみようという記事を投稿したのだけど・・・
■油彩用メディウム黄変試験 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=437 あれから2年弱が経過したので、現状を観察しつつ、若干のコメントを残しておこうかと。 試験方法としては、けっこういい加減に混ぜたり塗布したりしているので、正確性に欠いていますが、まぁ、それも含めて、実際の使用に近いのではないか、とか言い訳しつつ。 写真は、実物の色とは多少違うとは思いますが、だいたいこんな感じです。 リンシードオイルはしっかり黄変してますなぁ。それに比べるとポピー、サフラワー、サンフラワー、ウォルナット(以降これら4つまとめてポピー系と表記)は共に黄変はずっと少ない。ただし、少ないだけであって、若干は黄変している。ポピー等は黄変しないと思っている人がけっこう居ますが、リンシードよりずっと少ないにしろ、ある程度は黄変する(これは俵屋工房でも言ってました)。気になるのはポピー系は触ると柔らかいんですよね。乾性油を多目に混ぜているという点と、塗布後すぐに額装したということで、乾燥の条件が悪いのは確かなのだけれど、リンシードのサンプルがしっかり固まっているのに大して、ポピー系は触るとあきらかに柔らかい。今まで同じ条件で塗布して触り比べるということがなかったので気付かなかったが、こうして比べるとけっこう差がある。ポピーで描いた上に、リンシードで重ね描きするのは、柔らかい層に固い層が載るわけで、あまり好ましくないかも。 リンシードオイルは様々な種類を試し、それぞれ若干の黄変度違いがみられるけど、試験方法が適当なのでだいたい誤差範囲でみんな似たように黄変していると言っていい。ビンに入っているときの見た目の色とはほとんど関係ないような気が。。。どのみち黄変するから無理にブリーチせずに黄色いオイルで描いた方がいい、とデルナーも言っていたそうですが。ただし、誤差というのを差し引いた上でも多少の傾向を読み取ると、スタンドオイルはやはり黄変が少なく、ボイルドオイルは黄変が多いような気がする。これも技法書通りの結果である。市販のサンシックンドオイルもそんなに黄変しなかった。市販の生リンシードオイルより黄変していない気がする。自製サンシックンドは生リンシードと同じくらいに黄変していたが、しかし使用したのがまだ自製に手慣れていなかった頃のサンプルなので、暇があったらリベンジしたいところである。ないけど。 ダンマルワニス、マスチックワニスを混ぜて塗布したものは、ポピー系よりさらに黄変していない。それに実に素早くカラリと乾燥した。ただし、まだ2年というスパンなので、年数が経つと黄色くなる可能性がありそうだと予想中。また、乾性油と比べたら、溶剤に溶けやすく、経年で脆くなるということなので、ダンマルワニスだけで描くというわけにはいかない。コーパルワニスは黄変してるけど、予想したほどでもない。ヴェネツィアテレピンが意外と黄変している。リクィン(アルキド樹脂)は全サンプル中、最も黄変が少ない。というかアクリルジェッソの地塗りとほとんど変わらん。 リンシード、ダンマル、テレピン等を適度に混ぜた、いわゆるペインティングオイル的メディウムを混ぜて塗布したものは、黄変も少なく、乾燥性も良くて、なかなかよろしい。まぁ、テレピンが適度に入ったために、乾性油の量がそれほどでもないというだけの話かもしれないけど、そういうのもひっくるめて、描画用メディウムとしてバランスがいいと言えるのでしょう。リンシード、ウォルナット、ブラックオイルなどのパターンで試しているが、確かにウォルナット使用のものはリンシード使用のものより黄変が少ないけれども、それほど顕著な差があるわけではない。 以上、サンプルを見ながら思いついたことを適当に書きなぐったので、不備あろうかという思われますが、そもそもまだ途中経過の段階で、これは何の結論でもなく、メモ程度だと思ってください。あと、サンプルは、真っ白い地塗りの上に塗られてあるから黄変が目立っているが、キャンバス上の色というのは、周りの色との相対的な関係で印象が変わるので、さまざまの色の中にあれば、黄変は目立たなくなる。特にバロック風の絵の中にあっては、一番黄変しているサンプルでも、きっとまぶしい真っ白に見えることでしょうから、画像を見て不用意に黄変を嫌わないように願います。 |
この記事のトラックバックURL
http://www.cad-red.com/blog/jpn/tb.php/729
トラックバック
|