普段、粉末膠を使用しているせいか、あまり意識しないけど、板や棒になっている膠を触ると、膠というのは本当に固いということを実感する。三千本など、初めて使おうとしたときは、戸惑ったものである。折って水に浸けられるので、実は棒状というのは楽な方だったが。
以前、膠自作の話をエントリーしたことがあったけど、その際、厚めの板状固めたのだが、これがまた固くてピクリとも動かない。短剣を作ったら武器になるかもしれないという感じである。
で、同じように「PVA」を固めたらどうなるだろうかと、ちょっと気にならないでもないです。膠と同じくキャンバスの目止めに使われているので、どのぐらい違うかという比較はやはり気になるところです。そんなわけで、膠を固めたときと同じように、PVAを固めてみることにしました。
用意したのは2種類のサンプル、PVA文具糊と、PVA洗濯糊。これらはたぶん、濃度が違う。洗濯糊の方には濃度10%と表記されているが、文具糊は不明。
というわけで、膠を固めたときと同様の容器に、文具糊をだばだばと注ぐ。
ダイソーの一番大きな文具糊2本使用。
つづいて、洗濯糊も。
で、乾燥させる。
成分の大半は水分だから、これよりずっと薄くなるであろうことが予想されるが、それは膠も同じである。しかし、そんなことより、膠液は常温ですぐにゼリー化するから、乾燥させる上で、網に移すとかいろいろできるけど、PVAは液状のままなんで、乾燥させるのにちょっと時間がかかりそうである。
で、かれこれ1ヶ月ほど経過。
自信はないが、たぶん乾燥したと思う。
指でくにゃっと簡単に曲げられます。
洗濯糊の板。
これも、曲げられる。
だから何?、という感じであるが、やはりPVAと膠では、固さにかなり差があるように思われる。どっちも利点になったり欠点になったりするであろうけど、キャンバスとしてはPVAの方が、柔軟性があった割れなどの問題も少ないと思われる。特に細く巻いたりするときはPVAの方がよさそうである。自分がキャンバスメーカーだったら、安心して在庫したり、出荷したりできそうである。しかし、画布が麻の場合は、吸放湿により強い力で伸縮するので、これで麻を押さえられるかという不安がある。「木綿化繊混合画布」に「PVA目止め」「アクリルジェッソ地塗り」そして「アクリル絵具での描画」とくれば、相性としては最強の組み合わせであり、アクリル絵具は永続的に柔軟性を保つというから、経年後も長く理想的な組み合わせは続きそうな予感がする。麻と綿の生地を触っていると、麻でPVA目止めはちょっと難しいかなと思うというか、最近、あちこちで、木枠に張ったキャンバスが弛むという話を耳にするけど、これが原因の一端ではなかろうかと疑ってるわけです。個人的には、亜麻キャンバスの場合は、膠引きの製品を使っておこうかなと、今のところは考えているところです。アクリル絵具使用者の場合は、綿化繊+PVA+アクリル地塗りで鉄板ではなかろうか。なお、実験がおかしいとか、話が短絡過ぎとか、ご意見あればコメント欄にお願いします。