2008,05,26, Monday
自然染色なるものをやったことがなかったので、今回はそれを試してみる。
前からやってみたいとは思ってたのだけれど、正しいやり方などを調べるために書籍など借りてきたりしていたが、いまいちわかりやすい手引き書がなく、というかこんなふうに調べているといつまで経っても先に進まないので、適当にやってみることに。手元に数年前に入手してそのままになっているコチニールカイガラ虫があるので、それを。コチニールっていうと、ヨーロッパ的には、大航海時代に南米から入ってきて、それまでのケルメス染料を駆逐したというやつですね。 まずはカイガラ虫。ずいぶん昔に俵屋工房より購入したのだが、絵画材料としてどう活用すればよいか用途が見いだせずに放置していたもの。 染める対象たる布。コチニールの場合、動物性の繊維の方が染まりやすいというので、ウールとシルクを(ヤフオクで)入手。 カイガラ虫を擦りつぶした状態。 ガーゼにくるんでお湯に入れるとさっそく色が出てくる。 十分色が出てきたところで布を投入して煮る。非常に濃く染まっているのがウール、薄いピンク色なのがシルク。さっぱり染まってないのが、私が目を離したすきに親が勝手に入れたなんだかわからない布。ずいぶん違うけど、布の種類によって適温があるらしいので、その辺の違いなのかも。 つぎに色を定着させるために媒染するわけなのだが、今回はみょうばんを利用。コチニールの場合、先にみょうばんで媒染してから染めた方がいいとネットに書いてあったのだが、ちゃんと定着するんだろうかという思いがあって、後にしてしまった。とりあえず、少量のみょうばんを入れたお湯をタライに用意して、染液の鍋から取り出した布を入れてみる。 うーん、でも、コチニールの液のなかにみょうばんをぶっこんでしまった方が早いんじゃないか、などと考えて鍋にいきなり入れてみたところ、茄子漬け色になってビックリく。キタネェー色だな。 しばらくみょうばん液につけたあとに干す。これはシルク。なかなか上品な色じゃないですか。 こちらはウール、すごい濃いなぁ。少々斑があるが、これは染液に入れるときにまんべんなく水で濡らされていないとこうなるらしい。 完成の図。 さて、こうなると、体質顔料に染めてレーキ色が作れないだろうかという話になりそうだけれど、たとえ出来たとしてもブリードが心配で使えないので却下と予め宣言。 |
2008,05,07, Wednesday
「鉛白作りも」というコメントがあったことだし、鉛と酢で鉛白を作る方法を試みてみることに。
要は、鉛板を酢の蒸気にさらすことによって腐食させて白い顔料を得るわけで、蒸気にさすために古今様々な工夫がされてきたわけですが、今回は最も単純な方法、壺の中に酢を入れ、丈夫に鉛板を置くというのでいってみようかと。なお、予め断っておくと、単に興味本位の実験としてやるだけで、効率よくとか品質等は特に考慮してませんので。 鉛の板はどこで買えばいいのかわからなかったので、生け花道具の鉛製花留を購入。他にはトレーニング用の手首や足首に着ける重り、釣り具の重りにも鉛板が入っているので、その辺のお店で入手できると思われ(鉛板はとても柔らかく、厚いものでも曲げたり切ったりということが簡単)。酢に関しては、普通の食酢でもいけるかと思うが、それよりも濃度の高い局方の酢酸あたりが良いだろうと薬局へゆく。ところが酢酸は置いておらず、替わりに氷酢酸を手渡される(氷酢酸は純酢酸と呼ばれる純度の高いもので、引火性及び腐食性なので取扱いにはくれぐれも注意)。というわけで、今回は氷酢酸を水で薄めて使うことに。 ガラス容器に酢酸を入れ、その上に鉛板を置いて蒸気に晒すのだが、鉛板が直接酢酸液に触れないように適当な磁器の器を置いて台にし、そこに安定して乗るような形に鉛板を曲げておいてみる。ちなみにガラス容器も磁器も100均で購入。なお、ガラス容器で行なうのは、中の様子の変化を随時確認するため。それにしても、もともと酢の臭いが苦手なのだが、酢酸もキツイ。 しっかりとフタをして10日ほど放置し、出てきた白顔料をかき取って、また戻して10日後にまたかき取るということを鉛板がなくなるまで続ける予定だが、たぶん途中で飽きてしまうだろうな。数日かけてゆっくり変化があらわれるのかと思いきや、数時間後には鉛板の表面が白くなり、翌日には写真(下)のように鉛板の表面にびっしりと白いものが。これが鉛白であろうか。 ついでに、スーパーで買ったワインビネガー(酸度7.0%)でも試してみる(写真下)。これでも数時間で表面に白いものが出る。 |
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