2008,09,03, Wednesday
最近、MAIMERIのウォルナットオイルが入手できるようになったので、これまでポピーオイルを使用していたような場面で、積極的にウォルナットオイルを使用しているのだけれど、これがまた非常に乾燥が遅いような気がして。。。少し多めに使うといつまで経っても皮膜が柔らかく、カラリと乾いてくれない。もしかしたらポピーオイルより遅いのではないか、などと思い始めたところで、実際どうなんだろうと思い、乾燥速度の試験をしてみることに。どうせなので、手元にある他のオイルもまとめて実施してみることに。
アクリルジェッソを塗った板の上に、少量の絵具に各オイルを混ぜて塗布する、という方法で行なう。使用した絵具はホルベインのブライトレッド(乾燥日数3日)。各オイルが混ざるといけないので、パレットに16のサンプルと同じ数、少量ずつ絵具を絞り出し、筆にオイルをつけ、絵具に混ぜて塗布。一度使用した筆は筆洗器で洗ったのち、ホワイトスピリットで二重に洗浄、キッチンタオルで溶剤をよく拭う。できるだけ公平になるように、最初のサンプルを塗る際も筆洗器とホワイトスピリットで洗う行為を行なっている。と言っても、ブログにエントリーするレベルの実験なので、あまり精度の高い試験ではありませんから、その点ご留意の上で読んでください。問題点としては、全て新品のメディウムを使用したわけではなく、一度フタを開けて時間が経っているものもあるので、その場合、若干酸化している可能性があるのと、溶剤を混ぜていないので、粘度の高いオイルはどうしても厚めの皮膜になりがちで、不利な条件となってしまう。なお、乾性油に関しては、いずれも揮発性溶剤を使用しないで絵具に混ぜているので、通常の描画時に使用する状況よりも乾燥日数が多くなっているかと思われるので、実際に描画に使用したときにこれくらい時間がかかるというわけではないので。 乾性油以外にも、調合したメディウムとか、ワニス、合成樹脂などもサンプルに加えている。 以下が、試験結果を表にしたものであるが、指触乾燥のみの表示とした。指触乾燥とは指で触っても塗料が付かないという乾燥ぐあいで、内部はまだ柔らかったりする。その後の乾燥状況も表示したかったが、それぞれ実に微妙な進行具合だったし、厳密な塗料用語を使用せよとか言われると非常に困るので、表の上では省くことに。 まず、ワニスから。 ワニス系は揮発性の溶剤を多く含むので、乾性油だけのサンプルより遙かに速く乾燥するの当然と言えば当然。そもそも、塗布する際にどうしても薄目の膜になってしまうので有利。全サンプル中、最初に乾燥したのは、マスチックワニスであり、ダンマルワニスはけっこう遅かった。 ヴェネツィアテレピンは、テレピン精油等では薄めなかったので、他のワニスとは条件が異なる。しかし意外にもマスチックワニスと同程度のスピードで指触乾燥に到達。MAIMERIのヴェネツィアテレピンは他社製品よりも粘度が低く、テレピン精油を含む割合が多いのかもしれない。とはいえ、指触乾燥と言っても皮膜は非常に柔らかく、べたついた感じがいつまで経ってもなくならない(揮発性溶剤を加えれば別だと思うが)。 溶剤の多量に含まれたワニスを除外すると、最も速く乾燥したのが、コーパル・ペインティング・メディウム(クサカベ)とリクインファインディテール(W&N)。ブラックオイルも速かった。次は、サンシックンドオイルだが、特に自製のサンシックンドオイル(未ボイル)は、市販のサンシックンドオイルより速く乾燥した。と言っても、市販のサンシックンドオイルもかなり速いことに変わりはないが。 リンシードオイル、コールドプレスド・リンシードオイルはけっこう遅かった。スタンドオイルは普段からかなり遅いと思っていたが、今回の試験では、普通のリンシードオイルより若干速かった。不思議なのは、リンシードオイルが指触乾燥に至るまでの時間で、なんとポピーと同じくらいかかってしまった。コールドプレスドリンシードオイルは、全サンプル中でも最も遅かった。ただし、リンシードオイル全般は、たとえ初期の指触乾燥が遅かったとしても、その後の皮膜の固まり方などでは、ポピーなどリノール酸主体の油より、ずっとさっぱりとした乾燥具合になる。 リノール酸主体の油群(ポピーオイルなど、一般に黄変が少なく、乾燥が遅いと言われる乾性油)では、ヒマワリ油が最速、ついでウォルナット、3番目にポピー(と言ってもウォルナットオイルとの差は僅かでほとんど同時)となり、それらに比較するとサフラワーがやたら遅かった。ヒマワリ油は、指触乾燥までには、生のリンシードより速かった。 ■反省点 荏の油を加えるのを忘れていた。 なお、先に書いたとおり、厳密に条件を揃えられなかったので、参考程度にということで。 |
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