2010,12,30, Thursday
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2010,12,19, Sunday
前回、集めた亜麻仁油の油煙(ランプブラック)、かき集めて瓶に入れてみたが、すっごい少なくて、しょんぼりである。
前回:http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=853 試しに使うにしても、もうちょっと必要ですなぁ。 というわけで、今度はアルコールランプを使ってみた。 しかし、植物の油脂だと浸透するのが遅れるのか、芯の空気に触れている部分がほとんど燃えてしまい、最後のちょっとだけの芯で燃えるような状態になってしまう。 消えることはなくて、何時間でも燃え続けるが、火は小さい。 3時間かかって、これだけ。 やはり、数が重要であろうということで、お皿のランプに回帰、皿を2つに増やし、それぞれ3本づつ、計6本の芯でいってみる。 油煙の受け皿が、ちょっと近すぎるかも。 遠い方が、キメの細かい顔料が得られるそうですが。 芯が6本にもなると、ガンガン煙が出てくる。受け皿も熱くなる。 こんぐらい集まった。 クリームスクレイパーでかき取って、瓶に集めてみた。 この方法で、皿を倍に、あるいは3倍に増やせば、一気に集まりそうである。 ↓こんなことができるぐらいに集まればいいですなぁ。 |
2010,12,06, Monday
用意したのは、スーパーで買った若鶏肉の骨(食べ残り)。
変な味付けすると不純物となる可能性を考慮し、水炊きにして食した残りである。 しかし、改めて骨というものを観察すると、軟骨やら骨髄やらいろいろと一定の構成じゃないので、結果の予測が難しそうな気がした。綺麗に洗ったつもりでも、なんかいろいろな有機物が付いている。そして、ちょっと置いているだけで、すぐに腐敗して腐臭を放つ。食卓の下に鶏骨を見付けたら、すぐさま火にくべよ、とチェンニーニも書いていたが。。。むかし理科の先生が、豚頭骨の標本を作るために、豚の頭を花壇に埋めたことがあってですな、掘り返すときに見てたら、まだ腐りかけの状態で、ものすごい量の虫がうじゃうじゃと出てきて、それはもうグロい光景だった。それと比べると、象牙だったら素材としてはずっと扱いやすいのかもしれない。中身も均質で骨みたいな複雑さはないかもしれない。まぁ、象を狩ったことはないので、どんなもんかは知りませんが。 チェンニーニの書では、黒を作る箇所には骨を使った顔料は書かれてないみたいである。練習用板に使用する骨粉の作り方については書かれているけれども、これはたぶんメタルポイントのひっかりになるための下地用で、「灰よりも白くなったら」ということだから、白でありますかな。ウィトルウィウスとテオフィルスもさらりとチェックしてみたが、葡萄の蔓はかならず触れられているのに、動物の骨の黒がない。なお、見落としてたら教えてください。 ともかくまずは焼いてみることに。 今回はアルミホイルで包んでコンロで加熱という、簡易的な炭作りの手段を用いた。 アルミ箔で2重に包み、上に小さな穴を開けている。ただし、アルミ箔の隙間からうっすらガスが漏れているので、べつに穴は必要なかったかもしれない。やってみて気が付いた点としては、アルミ箔はコンロの火で長時間熱するには耐熱性がいまいちで、途中ボロボロと崩れてくるってところですかね(これは後々まで悩まされたので、しっかり焼こうというときはアルミ箔には頼れないと言える)。 一時間以上火にかけて、煙の量も減ってきたので、一旦終了。 冷めたのちに、恐る恐る中を確認してみた。 少し茶色くて、まだしっかり炭化しきっていない様子である。でも、そんなに悪い状況には思えない。 骨髄の部分は消えて無くなっている。 真っ黒くなるまで再び火にかけよう、というところで次回につづく。 |
2010,12,04, Saturday
ヴァインブラックの素材は「葡萄の蔓」(または枝)と書かれていることが多い。葡萄は栽培したことがないので、実体験としてはあまり知らないのだけど、ネットで画像などを見る限りでは、葡萄の蔓はなかなか凄い。葡萄を栽培してたら、蔓とかいっぱい出てきそうである。ウィトルウィウスの書にもヴァインブラックが出てくるけど、古代地中海世界でも、その後のヨーロッパでもワインがずいぶん飲まれていたようだから、葡萄の蔓は捨てるほどあったのだろう。顔料として適していたのは確かであろうけども、たくさん在ったというのも、ヴァインブラックが使われた理由かもしれない。そう考えると、個人的に葡萄とほとんど接点のない自分にヴァインブラックを作る理由はあるのかと自問せざるをえない面もある。しかし、身近に葡萄の蔓はないけれど、素材として「絞りかす」などと書かれている書物もありまして、考えてみるとワインを作れば絞りかすも大量に残ったであろうし、これも使われたことでしょう。クヌート・ニコラウスの本だと「ワインブラック」と書かれていましたが。
絞りかすでよいのなら、食べかすでもいいかもしれぬ、というわけでスーパーで葡萄を買ってきた。 アメリカ産オータムローヤルというものである。どの種類がいいかとか迷いそうなところであったが、店頭にこれしかなかったもので、他に選択肢がなかった。桃があったら、ピーチブラックに路線変更したところであろうが、今はもう無いようだ(経験者の方の話によると桃核炭はたいへん固いそうで)。 まずは、買ってきた葡萄を完食する。 量が足りないような気がしたので、さらにもうひとパック買って食べたが、この時点で何か非常に間違っているような気がしないでもない。 ここで一例として、ヴァインブラック製法のソースを挙げてみると、ウィトルウィウスの建築書では、まず、油煙(ランプブラック)と思われる顔料の製法が書かれ、その後、その顔料が間に合わなかった際の応急の手段として、炭系の黒の作り方が述べられている。「・・・葡萄の枝または脂気の多い削り屑が燃やされ、それが炭になった時火が消され・・・」(『ウィトルーウィウス 建築書』東海大学出版会)という具合である。ウィトルウィウス、テオフィルス、チェンニーニに、さらりと目を通したが、黒系の作り方はだいたいみんな似たようなものである。 今回は、以前、デッサン用木炭を作ったときの方法でやってみたいと思う。すなわち、半密閉の容器内で蒸し焼きにする方法である。 蒸し焼き用の容器として、100円均一でスチールの小物入れを購入。 葡萄の食べかすを押し込み、フタにはガス抜き用の小さな穴を開けておいた。 カセットコンロで蒸し焼き開始。 この容器、スライド式のフタがついていのだけど、隙間からガスが抜けていゆく。 下手すると酸素が供給されて灰ができてしまうかもしれぬと、ちょっと心配。 量が少ないからか、30分程度で煙が出なくなったので、火を止めた。 あまり続けると灰になるので、頃合いを見て止めるのだが、その辺のタイミングの判定がまだまだよくわからない。 う~ん、微妙な炭ですなぁ。 やはり蔓の方がいいか。 蔓、写真で見る限りでは、炭を作るのに向いてそうな予感がする。蔓そのものが売っているところはあまり見ないが、葡萄の蔓で作った工芸品はいっぱい売っているので、それを使うという手もある。しかし、そういうのは手作り品が多く、作者に悪いような気もする。あるいは葡萄に限定せずに、何らかの蔓でよいなら、庭にないこともない。蔓植物なら、一般的な木材よりも軟らかくて顔料にしやすいという可能性も考えられるが、その辺は今後の課題である。 しかし、失敗かと思われた食べかすの炭であるが、乳鉢でゴリゴリとやってみると、なんかいい感じの黒であるような気がしてきた。 これがどんな色になるかであるが、実は既にボーンブラック作りも進んでいるので、そちらと一緒に比較しつつ試したい。 |
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