2011,11,16, Wednesday
前回は、七輪で石灰岩を焼き、漆喰の材料である生石灰を作るところまで実行した。
■七輪で石灰岩を焼き、漆喰を作る【フレスコ画】 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1023 その後、生石灰を数日ほど水に浸けていたが、実際に壁やパネルに塗布して使えるのかどうか試してみることにした。 いざ使おうと思って、瓶から石灰の練り物を取り出したら、小さい石灰岩の塊がゴロゴロと混ざった状態だった。陶芸用の窯で焼いた場合は、完全に焼かれて、水に浸けてすぐに綺麗に崩壊したけれども、七輪焼きでは完璧にはいかなかったようである。古代の技法のように、数年間水に浸けておくと、ムラ無く細かくなったという可能性もあるかもしれないし、または水に浸けている間、よく攪拌した方がよかったのかもしれないが、たぶん焼き加減が最大の原因だろう。 砂を混ぜて、パネルに塗布。 水分が多すぎて、漆喰が緩くなったので、水平にして、セメント風に乾燥させることにした。 炭酸カルシウムなどの細かい体質顔料を混ぜると丁度よい練り加減になったかもしれないが、砂では粒が多すぎて水の多さを緩和できなかったか。砂が下に沈んでしまったが、今回はただの実験ということで多目にみよう。 2日後には、立派に乾燥していた。 焼き切れずに残った石灰岩が粒状になって、飛び出していたりなど、仕上がりに多少問題はあるけど、手近な道具で天然の石灰岩を焼き、水で消化し、漆喰として使うという一連の工程は繋がったので、学習的な試みとしては無事完了。 関連記事 石灰岩を灯油窯で焼く http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1020 |
2011,11,14, Monday
石灰を焼こうとして、いろいろ試しているうちに、七輪に陶製植木鉢で蓋をすると、わりと高火力の窯として代用できることが分かり、その他諸々の実験にも使えそうな予感がしているのだけど、燃料によって実験の成果がだいぶ異なってくる。幾種類かの燃料を試したけれど、まず、火力が高いと言われるコークスであるが、ふつうの七輪の使い方(鉢で蓋をしない)では、さっぱり役に立たなかった。燃えないのである。鉢で塞いで窯、というか炉のような状態にすると、それなりに火力を発揮しはじめる。だが、七輪では狭くて物足りない感じである。実際、石灰を焼くような工業的な用途ではコークスが現役で使われているようだが、七輪で無理に使わなくてもいいような気がする。どっさり買ってしまったので、私はどうにかして使い切らないといけないが。コークスは初めて使ったけど、最初全く火が付かなくてどうしたものかと思ったが、さらに普通に燃えているものの中に入れても燃え残るので、不良品でも買ったのかと心配になった。しかし、ようするにストーブとか、炉のような状態で火力を発揮するものらしい。
七輪の窯では、今のところオーソドックスに木炭を使うのが一番ではないかという気がしている。ナラなどを使ったやや高級な炭は、火がたいへん長持ちして、暖房用にはよいのだが、火力の必要な実験をしていると、ちょっと落ち着きすぎていて物足りない。昔のヨーロッパの産業ではオーク材の火力が重要だったということを読んだことはあったが、時間軸も含めた総合的なカロリーは高かったかもしれないけど、瞬間的な炎の強さは、針葉樹の方がよさそうである。 「現代農業 2011年 12月号」は薪の特集だったので、薪関連の記事に一通り目を通した。薪の場合、ナラなど広葉樹の薪は火が長持ちするので、暖房用に人気があるが、それと比べると針葉樹は短時間で燃え終わってしまうので、薪ストーブ用には不人気だとか。ただし、短時間で燃えるということは、それだけ火の勢いが強いわけで、すぐに暖まりたい場合は、松材の方がいいこともあるとも書かれてあった。石灰を焼く際に、できれば火力の強い炭を使いたいと思って、価格のちょっと高めの木炭、ナラ材の炭を買ってみたが、燃やしてみると、赤くなってじわっと熱を発し、見ていても高級感溢れるけど、七輪の窯にはあまり向いていないかもしれない。バーベキュー用などに売られている最も安い価格帯の炭は、ラワン材になどにも使われる南洋材が原料の炭である模様だが、この炭は、すぐに燃え尽きてしまうのだが、その分、火力が強そうである。じわっというのではなくて、火がメラメラと燃え上がりつつ、どんどん燃焼し尽くして灰になってゆく。これと七輪の窯の組み合わせはなかなか良いと思う。着火も非常に楽で、ナラ炭はなかなか火が付かないけど、南洋炭はちょっとした火種があれば、簡単に着火できる。このような安物木炭はどんどん燃えてしまうので、予想よりずっと多くの炭を用意しておかないと足りなくなる。安い炭をどんどん追加していきながら、通風口から空気を送り込んで燃やし続けると、うまく石灰が焼けるのではないか、などと思案中。 なお、七輪でよく使われる燃料に豆炭というのがあって、これは火がものすごく長持ちするから、暖房用には最適かもしれないが、しかし、その分火力が控えめなので、火力の必要な実験では、邪魔になるだけのように感じた。七輪って、狭いですからね。 |
2011,11,09, Wednesday
七輪で石灰岩を焼いて生石灰にし、漆喰を作ることができるか試してみた。
こちらが、ホームセンターで購入した炭火七輪。 七輪の燃料と言えば、炭と並んで豆炭が思い浮かばれる。他には、火力の強い燃料としてはコークスがある。最初、木炭、豆炭、コークスの混合で試みたが、結果は芳しくなかった。木炭も原料等により性能が異なるから、これも複数試したが、バーベキュー用の安い木炭を使った場合が、いい結果になった。しかし、この件は長くなりそうなので、別途機会があったら書くとする。 七輪に炭を入れて火を点ける。安物の南洋材の木炭はすぐに火が付く。 火が付いたら、木炭の上に石灰岩を配置する。 さらにその上に木炭を置く。 七輪の上に、陶製の植木鉢を置き、炉のような構造にする(ガスは鉢の穴から抜ける)。 七輪の下穴は絶えず全開にし、ときどき団扇などで扇いで火の勢いをつけてやる。 木炭をどんどん投入しながら、8時間ほど燃やし続けた。 木炭をケチってはいけない。 翌朝、燃えかすの中から、石灰岩を取りだしてみた。 水に浸けて見たが、反応はほとんど見られない。灯油窯で焼いたときは、一気に水温が上がって、石灰岩が崩壊してゆく様が見えたものだが。。 しかし、半日ほど放置していたら、いつの間にか石が崩れて、細かい粉の練り物になっていた。 灯油窯で焼いたほどではないが、七輪でもこのくらいにはなるようである。 あとは、これが漆喰のように固化するのかどうかを確認したいところである。 |
2011,11,06, Sunday
以前、カセットコンロでの生石灰作りを試みたが、コンロやガスバーナーでは長時間の加熱に向かず、コンロが酷く痛むし、カセットが熱せられて爆発するという危険もないわけではない。
石灰岩を灯油窯で焼いた場合は、サンプルが満遍なく生石灰となって一応の成功であったが、灯油窯を持っている人は少ないと思う。 というわけで、今度は練炭コンロで試してみることにした。 実は、練炭というものを初めて使用したのだけれど、なかなか便利な燃料である。練炭及び練炭コンロについては、Wikipediaが詳しいので、↓そちらを参照されたし。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%B4%E7%82%AD 石灰石を焼いて生石灰にする際の温度は『ポンペイの壁画』によると900~1200℃とある。Wikipediaによると、練炭コンロ(上つけ練炭コンロ)を使用した場合、燃焼温度が1060~1100になるという。そして、下窓を開放した高出力時で5~6時間燃焼を継続するという。2回続けて焼けば、12時間になるので、生石灰を作るには充分ではなかろうか、という期待である。 なお、期待させると悪いので予め結論を書くと、いちいちうまくいかなった。正確には途中で断念した。 でも、試みたことを順に書きとめておこう。。。 まず、練炭コンロに火をつける。 ステンレスの網に石灰石を入れる。 それを燃えている練炭の上に置く。 石灰石は、理科実験用教材として売られているもの。たぶん試験管に入るようにということで、とても小さく砕かれている。 火にくべたら、パチパチ鳴って、飛びだすので困った。 思わず反射的に素手で拾ってしまって、見事に火傷した。 酷く痛むので、アロエを切って幹部を巻いておいたら、そのうち治ったが。 練炭コンロの下窓を開けるほど、それだけ火力が強くなるそうで、終始全開の状態で行なった。 全開だと、だいたい5~6時間ぐらいで練炭は燃焼され尽くす。 日が暮れても燃え続ける練炭。 しかし、これだけ熱してもほとんど成果はなかった。焼いたサンプルを水に入れても、崩壊も、沸騰もせず、ペーハー測定紙を入れても変化なしであった。 陶製の鉢でフタをしてみることにした。 こうすることによって、炉のような構造になって、中の温度が非常に高くなるのである。 とある児童向けの本を読んでいたら、炭火七輪に鉢で蓋をした炉で、陶器を焼く方法が載っていたので、さっそく試したわけである。 これはなかなか効果があったようである。 最終的に石灰石は↓のようになった。 よく見ると、白さが増している石があるが、これは生石灰になりかけている状態だと思う。 しかし、炉のようにして2回焼いてこれであり、それでも、水を強アルカリにすることはあるけれども、崩壊も発熱もなく、いまいち効率的でないと感じた。同時に、炭火七輪でも行なったのだけど、そっちの方がうまくいってそうな様子なので、練炭コンロはこれで終わりにした。 すごい無駄な行為だったような気がしないでもないけど、練炭っていうのを使うのが初めてだったので、それを見ているのは面白かった。 練炭の持つエネルギーは練炭の体積以上のものは入ってないだろうし、これだけ長い時間、燃焼が持続するということは、瞬間的な火力は抑え気味であるのでしょうなぁ。 |
2011,11,05, Saturday
陶器制作用の窯で、石灰岩を焼いてみることにした。
琉球石灰岩である。 1300℃で6時間焼いた。 それほど変わってないように見えるかもしれないけれども、私の経験上では、見ただけでしっかりと生石灰になっているような雰囲気を醸し出していた。 瓶に移して、水を入れてみた。 ジュウジュウと音がして、水が温まってくる。 もちろん、石は充分冷えた後なので、生石灰と水の反応で温度が上がっているということである。 次第に石灰岩が砕けだし、かき混ぜるとどろどろの漆喰風の練り物になった。 瓶がどんどん熱くなっていく。 というわけで、石灰石を焼いて、生石灰を作ることに成功。 と言っても、さすがに陶器用の窯で失敗するということはないとは思うが。 イタリアの伝統的な消石灰製造においては、これを数年かけて水の中で消和させるとのことであるが、水に浸けて間もなく漆喰として塗っても、一応の壁は作れるであろう。というわけで、少量ではあるけれども、これをパネルか何かに塗ってみたい。 -- 2011年11月9日追記 上記の生石灰で漆喰が作れるかを早速試してみた。 水に入れた生石灰は、理想を言えば、長い時間をかけて消化させるとよいらしいけれども、この程度の量でそこまでするのもなんなので、続けざまにパネルに塗布してみることにした。 一応、数時間は、↓この状態で置いてはみたが。 石灰だけでは割れるので、繋ぎとして砂を混ぜた。 砂の量は、下地か、仕上げ層かで異なってくるが、今回は石灰よりも多いぐらい砂を入れた。 で、F4号の木製パネルに塗ってみたが、2~3日で立派な漆喰となっていた。 よく見ると、表面に穴とか筋があるのが見えるけど、これは、乾燥が進む間、ずっと気になって、棒で突いたり、ひっかいたりしてたので、こうなってしまっただけある。 |
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