ここ2、3年ほどギリシア文化に夢中になっておりまして、その流れでアロイス・リーグルの『美術様式論 装飾史の基本問題』を読み、非常に感銘を受けまして昨年はアカンサス苗を植えてみたのですが、今年無事花が咲きました。装飾美術の世界では葉の方が重要とはいうものの、この花の柱はなかなかインパクトがあります。
ちなみに、アカンサスの重要な二種、モリスとスピノサスを植えています。
アカンサス・モリス
花は咲いたけれども、葉の量などがまだまだ寂しい感じなので、上手く生き延びさせれば、今後大きくなってゆくと思うので、引き続き撮影して素材写真を集めたいところです。冬になると枯れて消えてしまうので、宿根草なんですかね。
アカンサス・スピノサス
モリスに比べると棘が鋭くて、触れるとめちゃくちゃ痛いです。葉に出ている棘もけっこう堅いのですが、花の近くの萼状の葉の棘が特に鋭くて凶器のようです。モリスも棘はあるけれど比較的柔らかいので、刺さるということはないと思います。
装飾美術の世界ではアカンサスはよく活用されるモチーフですが、これは最近じゃなくて、もう古代世界の頃からの話であり、特に有名なところでは、コリントス柱頭の装飾のモチーフとなっているのではないかという話ですが、厳密にはその辺もあまりはっきりはしませんが、実際にはコリント式が流行ったのは古代ローマ世界であり、古代ギリシア盛期では神殿の奥まったところにちょっとあっただけで、アテネのゼウス神殿のようなギリシアにあるコリントス柱頭もローマ征服後であったろうとか時系列的にも複雑であるし、言及し始めたら切りがありませんが、それはさておき、とりあえずは植物を観察してみるというのは大事かと思われます。一般的に手に入るのはアカンサス・モリスという種類で、ネットショップで簡単に手に入るのですが、アカンサス・スピノサスの方はそれよりは入手が難しいと言えるでしょう。私も買ってみたものの、葉の形はスピノサスではないだろうなというのが届いてしまったりとか、いろいろありましたが。モリスの方が葉の形が柔らかで大柄であり、スピノサスの方が細くトゲトゲした印象があります。もっとも、植物の特に葉っぱの形状は、個体差が大きいので、判別が難しいことも多いのですが。
ちなみに↓は拙宅スピノサスの葉です。
それにしても、近年の研究成果も踏まえた装飾美術を読みたくて探してはみてはいるのですが、アロイス・リーグルほどの読み応えのあるものは見つけられず。やはりこれは一度は読んでみるべき書と言えるでしょう。