鉛白づくり近況
鉛白づくりですが、イーストの交換を忘れてしまったり、さらに夏後半の天候不順により予想より気温が低かったなどの理由により、さほど進行せずに過ぎてしまいした。実はコチニールをいじっていたら、すっかり忘れてしまっていたというのもあるのですが、まめにイーストを交換するというのは、簡単そうでなかなか難しいものです。
鉛白

鉛板を入れているプラ容器を多少揺すると、鉛白が落ちます。
鉛白
鉛板を吊しておくという、ドイツ製法であれば、鉛白はどんどん下に落ちていくのかもしれません。次回は縦方向に高さのあるコンテナにして、吊してやってみるというのもよいかもしれません。

鉛板も再びむき出しになってここからまた反応を継続させていくよう努めたいと思います。
鉛白
ワインビネガーを一度捨てて、コンテナを洗って、再び材料類を投入しておきました。

今のところ集まった鉛白は以下の量です。
鉛白
ちなみに鉛板があまり減っていないように見える割に、鉛白はそれなりに取れるので、炭素を取り込んだりした分、体積が増えるのかもしれないというふうに思ってしまったりもしますが、おそらくは空洞が多いだけで、油で練ったりすると、顔料の見た目よりも体積が減って、大した量の絵具はできなかったりします。昔Narural Pigmentsから購入した、けっこうな価格のするスタック法鉛白も、苦労して練ったら油絵具としてはとても少なかったりして、しょんぼりしたものです。鉛白を生成したりするのは、それほど手間ではなく楽しい工程ですが、ここから油絵具にするというのは、けっこう困難でときに力業になるかもしれませんので、その辺の対策を考えているところであります。

| 絵画材料 | 08:39 PM | comments (0) | trackback (0) |
コチニールでレーキ顔料づくりを試みてみました。
引き続きレーキ顔料づくりを続けておりますが、試行錯誤中ですので、以下は自分用メモみたいなものです。情報に大した信憑性はないと思っていただければと思います。

まずは、染料店のミョウバンを購入しました。スーパーの焼ミョウバンはアンモニウムミョウバンが多いけれども、こちらはカリウムミョウバンであり、どちらがレーキ顔料に適しているか調べてみようとしたけれども、どちらでもよいみたいである。アンモニウムミョウバンにもカリウムミョウバンにも、生ミョウバンと焼ミョウバンがあり、染料店から購入したものはいずれもカリウムミョウバンでした。
生ミョウバンか焼ミョウバンかの違いは、処方において量が異なるという点と、溶けやすさや、溶ける温度に違いあるようで、レーキ顔料を作る際には、その成否にかかわることもあるし、色味にも係わる要素となりえそうです。焼ミョウバンは水を含まないので、重量で計った際には生ミョウバンの処方の半分で良い、らしいのだけれども、そもそも焼ミョウバンか生ミョウバンかを明示していないことも多く、この辺はどちらのことを指して処方を述べているのかわからないこともあります。

今回はコチニールを使ってやります。やはり主役はコチニールと言えるでしょう。実は掃除中に引き出しなどを漁っていたら、合計で150gのコチニールが発掘されまして、これを活用して実験をやってみるのがよろしかろうかな、と。いったい何年前に買ったものか、下手すると10年以上経ってそうなものもありましたが、いよいよ役立ってくれそうです。

今回は15gのコチニールを使用しすることしました。
コチニールでレーキ顔料
コチニールは事前に乳鉢で細かく砕いておきましたが、これを綿布でくるむなどはせずに、湯の中にそのまま入れました。約1リットルの水の中で、20分ほど煮出して色を出しました。
コチニールでレーキ顔料
鍋は金属の影響がでないようにホウロウ鍋を使用しております。煮出して色が出たあとにまずはテトロンという、シルクスクリーンで使う細かいメッシュの布で濾して大きめの破片を取り除き、さらにコーヒーフィルターで濾過して細かなゴミも取り除きました。コチニールに限らず染料素材の残渣は丁寧に取り除くべきであろうかと思います(なお、後で外人youtuberの映像をみたら、ミョウバンも入れて溶かしたあとにフィルタリングしていたので、確かにその方が効率がよろしいですな。)。そのような行程を経るうちに蒸発するなどして、1リットルの水はだいたい600mlくらいの染液になっておりました。
コチニールは色の出方がすごいので、ちょっと多く使いすぎたかもしれないという不安はありますが、そこは好みの問題なのかもしれません。この染液に対して45gの生カリウムミョウバンを入れることにしました。染液を再び80℃くらいまで上げて、ミョウバンを投入します。生ミョウバンはそれほど高い温度が必要というわけではありませんが、念のためこのくらいの温度にしております。よく撹拌しつつミョウバンを溶かします。ミョウバンが入れば当然色も変化します。コチニールの場合はこの時点ではパープルがかった染液に見えるようになるかと思います。それと同時に別の容器に炭酸ナトリウム液を作っておきます。500mlビーカーに400mlくらいの湯を入れ、そこにスプーンで5杯の炭酸ナトリウムを入れました。これは様子をみながら逐次投入するので、念のためちょっと多めに用意しておくけばよろしいかと思います。ちなみに炭酸ナトリウムは洗濯用のものを使うことが多いと思いますが、私はコンニャク作り用食品添加物というものを買っております。洗濯用の製品は妙な効能などいろいろ書いてあったりして、余計な成分が入ってないか心配になったもので。
コチニールでレーキ顔料

さて、コチニール染液は1000ml容器に移し、念のためミョウバンとの反応がしっかり行われることを待つ意味で、染液が50℃くらいになるまで待ちました。炭酸ナトリウム液の方もだいたい同じように50℃くらいになったところで、コチニール染液の中に少し炭酸ナトリウム液を入れます。たまたま閲覧した外人youtuberが温度が大事だと言っておりましたので。しかし何度なのかはわからず。発泡して泡が出てきますので、少しずつ入れねばなりません。一気に入れると溢れ出すことがあります。泡だっているものを撹拌し、ガスが抜けて少し落ち着いたら、再びカリウム液を追加するというのを繰り返します。
コチニールでレーキ顔料
いつしかカリウム液を入れても反応が鈍くなり、そして泡もでなくなってきたところで、よく撹拌したのちしばし放置します。色の付いた顔料?が沈殿して下の方におりてゆき、上層には透明な液体の層ができます。そのまま一晩放置しました。

それからコーヒーフィルターで濾しますと、ねっとりした顔料が残るので、フィルターを開いて乾燥させます。
コチニールでレーキ顔料
乾燥には3~4日かかるということで、この後の工程は後日報告致します。

さて、ミョウバンを少なめに入れて試してみました。先ほどは45g入れましたが、今度に15gにしておきました。ミョウバンの量で色を調整できるかどうか試したかったもので。約600mlの染液に15gですと、カリウム液を入れた際に、かなり早い段階で発泡も終わってしまいました。

やはりミョウバンが少なかったといえるでしょう。出来た顔料は少なく、染液がだいぶ無駄になったという印象です。なお色の違いは顔料が完成してみないとわかりませんので、また後日ということで。

実はこの後に乾燥した顔料を細かくする工程があるのですが、そこが悩みの種でして、乳鉢乳棒で砕いたのちに、練り棒と大理石パレット上で練っていくわけですが、意外と顔料が固くて、どうも大理石パレットでは、うまく行かないのでは。大理石というのは大して高い硬度はないので、何か高硬度のパレットが必要になるのではないか、という気がしているところです。もっとも、これは他の顔料でもいつも思っていることなので、今更ではありますが。

| 絵画材料 | 11:44 PM | comments (2) | trackback (0) |
松田壽男(著)『古代の朱』他読了
松田壽男(著)『古代の朱』を読みました。『丹生の研究 歴史地理学から見た日本の水銀』の方が有名ですが、こちらは中古価格が高騰しており入手はあきらめて、一般読者向けに書き下したという『古代の朱』の方を読みましたが、これでも充分なボリュームでした。バーミリオン、硫化水銀、あるいは水銀というものにへの関心が非常に高まる一冊であったといえましょう。私は赤い色が好きでして、バーミリオンやカドミウムレッドはよく使います。絵画用途ではバーミリオンは変色しやすいので、現代ではカドミウムレッドに置き換えるよう言われておりますが、しかし、これを読んだらバーミリオンを使わずにはおれないところです。と言ってもふつうは硫黄と水銀を掛け合わせた合成バーミリオンしかふつうは油絵具にはありませんが、それも西洋では中世以来の伝統があるといえるでしょう。しかしやはり天然辰砂も使いたくなるというものです。日本画の岩絵具ではありますけれども、油絵具にしたらどうなのでしょうか。
さて、『古代の朱』は一般向けに書かれたとは言っても、だいぶ年季が入っておりますので、少々読みにくいところはあるかと思います。私は他にも日本の朱やその他の金属関連の本も買ってはみたのですが、
蒲池明弘(著)『邪馬台国は「朱の王国」』が面白かったです。松田壽男に非常に影響された内容であり、そこから邪馬台国の話になるという、学術的な本というよりは一般向けの読み物であるのでしょうけれども、この人は文章がとてもうまいです。ちょっと前掲の本で意味不明だった部分もすんなり理解できたりします。ちなみにこれらを読んで、それからいろいろ調べていたのですが、youtubeに無断アップロードされていると思われる「所さんの目がテン」という番組の水銀の回が非常によくできていたので、消されてしまう前に一度見ておくといいんじゃないかと思います。

それから、文化財保存修復学会第43回大会 研究発表集が届きました。USBメモリ版をリクエストしましたので、このままどこかにしまったりしたら、そのまま無くてしてしまう恐れもありますので、気になるものをその日のうちに読むことにしました。やはり顔料と関わりのあるものをピックアップして読んでしまうわけですが、「嘉永年間の役者絵に用いられた石黄の分析」、「鉛金属の腐食と空気環境との関係についての調査事例」、「東海市指定文化財「釈迦十六善神図」「阿弥陀如来象」の修復及び調査報告」、「西洋中世の処方に基づいた青色人工顔料の歴史的考察」がいずれも顔料に係わるテーマで勉強になりました。特に「西洋中世の処方に基づいた青色人工顔料の歴史的考察」は今後が楽しみです。

レーキ顔料づくりの方はコチニールに移行したいところですが、National Gallery Technical Bulletin Volume26にThe Technology of Red Lake Pigment Manufacture: Study of the Dyestuff Substrateという記事があったのだけれども、これはなかなな優秀そうな情報源であります。でも、今読むと理解が半端になりそうなので、まずは現在の知識でコチニールをレーキ化しつつ一通り材料を集め、その後に目を通した方がよさそうであります。しかし、この号は2005年に購入して放置しておりましたが、改めて開いてみたら、面白そうな記事ばかりであります。買ってほっとしてしまうというのが一番よくない気がしますが、やっぱり何かの切っ掛けがないと素通りしてしまうということもありますので、こういうことも何かの縁なのでありましょう。なお、現在はwebで公開されております。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 11:44 PM | comments (0) | trackback (0) |
鉛白途中経過

左はイースト(+砂糖)の皿にゼラチンを少量添加したもの。
中央はイースト(+砂糖)だけの皿(反応が早く終わるので、ガス放出量は多いけれども、ときどき皿の中身を新しくしてやらねばならない)
右はイーストなし。

というわけで、ぱっと見た比較ですが、イースト無しはさすがに反応が少ないのですが、他の2つの進行に大きな差はないように思えます。定期的にイースト交換している方が若干進行は速そうにも思えますが、時間的な余裕がない日々のなかでは、それも難しいことを考えれば、ゼラチンを少々添加して放置しておける方が効率的であろうと思います。

二酸化炭素は空気(窒素と酸)よりも比重が重いという助言を頂きましたので、対策を考えたいところですが、今回の場合は応急処置として、百均のロートとエルボー型塩ビ管を組み合わせて、誘導してみることにしました。

ちなみに150円ほどで完成しました。

気温は30℃前後が丁度いいとは聞いておりましたので、夏場に実行したわけですが、ここ数日天候が悪くて条件は悪くなっております。当面天候の回復はなさそうです。今後の処理などいろいろ気になるところはあり、それなりに調べております。しかし最近、松田壽男の朱に関する本を読みまして、辰砂の方も気になっておりまして、ヤフオク等で辰砂を収集しておりまして、うっかり鉛白のことを忘れてしまいそうになります。鉛も水銀も現代では異様に嫌われておりますが、これほど魅力的な金属もなかなかないでありましょう。

| 絵画材料 | 12:34 AM | comments (0) | trackback (0) |
染料の顔料化をやってみました。
レーキ顔料を作ってみました。まだまだ不勉強なので、出来具合いはお察しください。

今回はイラン産茜を使用。30分かけて煮出したものがこちら。
レーキ顔料
あまり綺麗には見えませんが、アルミ媒染するとかなり明るくなるようです。

今回は布を染めるわけではなくてレーキ顔料を作るわけですが、まずはミョウバン液をたっぷり用意しておきます。濃度等はまだよくわからないものの、いろいろ助言をもらいつつやったわけではありますが、今回はスーパーでも手に入る調理用の焼ミョウバンを使用したのですが、焼ミョウバンの場合は重量比では生ミョウバンの半分にするべきだったようです。それと、ミョウバン液を入れても色は明るくなってはくれず、赤ワイン色みたいな感じのままでした。でも、先に進みます。ここでアルカリ液を用意するはずが、気がついたらアルカリ液を作るための薬品がなかったので、買おうかと思いまして、洗濯ソーダを勧めている記述が多かったので、特に海外サイトでは多かったので、買おうかと思ったですが、スーパーの市販品は何かしら微調整のための混入がありそうな気がして、食品添加物の炭酸ソーダをネットで注文しました。それを待つことにして、その日はそこで手を止めて、ネット上でレーキ顔料づくりについて読みましたが、英語圏のページが非常に多くて、それらを眺めておりました。炭酸ソーダはヨドバシに注文したので、速攻で届きましたが、実は部屋の掃除をしていたら炭酸カリウムが出てきたので、これを使うべきであろうと思って、そちらで試すことに。なお、強いアルカリ性は皮膚等を痛めますので、取り扱いは注意してください。

炭酸カリウム液を投入し、ミョウバン液を沈殿させる。そのときの二酸化炭素?が放出されるのか発泡する。
レーキ顔料

沈殿を待ち、それからコーヒーフィルタで濾過する。
レーキ顔料

コーヒーフィルタを広げて、乾燥させる。
レーキ顔料
2、3日待つと乾燥し、塊となっていました。

これを乳鉢で粉末化しまして、アラビアゴム水溶液と混ぜて試し塗りしました。
レーキ顔料
さて、アルミの影響で明るい赤になるかと思いきや、銅か鉄で仕上げたみたいな色になっておりますが、これはなんでしょうペーパーの問題とかでしょうか。あるいはもうちょっと熱心に乳棒を使って細かく粉砕すればよかったのでしょうか。でも、とりあえずは、ミョウバンやアルカリ剤など、手元にいろいろ準備が整ってきたので、この調子で徐々に環境を整えつつ、そして手元にはコチニールがけっこうあるので、これを使い切ってみる感じで顔料化のノウハウを学んでゆきたいと考えております。

| 絵画材料 | 10:37 PM | comments (0) | trackback (0) |
ウェルドでシルクを染色してみました。
自室のエアコンを新調しました。購入したのは東芝の10畳用エアコン、本体と設置費、処分費、室外機配線カバー等いろいろ含めて9.5万でしたが、部屋にエアコンの専用電源が通っておりませんで、その工事も必要となりそれに4.5万かかりました。古い家なので、もっとかかるのではないかと心配していたのですが、なんやかんやで計14万程かかりました。東芝のエアコン、実質的に製造元はアイリスオーヤマともはや変わらないようなのですが、数年使えれば充分だし、10年使えたら立派なものであろうと考えることにしましょう。それにしても、新品のエアコンは非常に効きが良くて、29℃に設定してもキンキンに冷えております。東北とはいえ昼間の外気はかなり暑いですね。しかし夕方になるとカラッとした涼しげな風が吹いてきて、窓を全開にするとけっこう快適なのです。ところが夜になると再び猛烈に暑くなってくるのですが。19~3時くらいにかけてめちゃくちゃ暑くなるのですが、これは皆が帰宅してエアコンを付けて、それが外気を熱しているということはないだろうかと、ちょっと心配になりました。まぁそれはともかく今後は部屋のカーテンを閉め切って暗い部屋で顔料でも作りたいと思います。

エアコン工事の件もあって、久方ぶりに本格的に部屋の掃除をしたのですが、昔集めた天然染料が大量に出てきましたので、ここで一気に使ってしまおうかと思っております。レーキ顔料化してみたいと思うのですが、顔料化の前に、乾燥させたウェルドがあったので、これで布を染めてみたいと思います。ウェルドは昨年、意欲的に植えたはずなのですが、収穫できたのはごく少量に過ぎませんでした。
ウェルド
ずいぶん植えた気はするのですが、乾燥させてみたら、これが2袋というものでした。昨年、半分を使って綿布を染めたのですが、ほぼ染まらずに終わってしまって、果たして黄色染料として有効なのかもはっきりしておりませんでした。植物性の繊維を染めるなら蛋白処理しておくか、あるいは動物性の繊維を使ってはどうかというご指摘をツイッターか何かで頂いておりましたので、とりあえず、この残りのウェルドを使ってシルクを染めてみたいと思います。

というわけで、やってみたのですが、わりと綺麗に黄色く染まりました。
ウェルド
写真では薄く見えるかもしれませんが、肉眼で見るとけっこう綺麗な黄色です。黄土色とかではなくて、かなりいい感じの黄色です。2~3回繰り返し染めると、色も濃くなってかなり鮮やかな感じになるのではないでしょうか。染料は既に品切ですが。でも種は取ってあるので、頑張れば来年また染められるかもしれません。忘れずに秋まきをしておかねばなりません。いずれにしても、育てていたものが、一応黄色い染料として機能しそうだということが実証されたということで安心しました。レーキ顔料づくりの方ははじめはアカネとコチニールでやっていく予定ですが、実はすでに試しはじめてはいるのですが、実際やってみると材料や薬剤が不足していたりなどで、ネットでせっせと注文している状況です。

| 絵画材料 | 10:09 PM | comments (0) | trackback (0) |
鉛白作りを開始
夏休み中なのですが、残すところ3週間となってしまいました。それでもけっこう長いとは思いますが、講師以外の仕事も入ってくるだろうと思っていたのですが、あんまりそうでもないみたいな感じですので、本当にただの休みのような感じなのですが、しかしやるべき課題は多々あるのであります。実はこのところいまいち画材の研究というものにいまいち取り組んでなかったので、この機会に初心に返って、画材の何かに勤しみたいところなのですがまずは鉛白を作ってみたいと思います。鉛白の作り方は古くは古代ローマ時代のヴィトルヴィウス、中世のテオフィルスなどでは壺などの底に酢を入れ、上部に鉛板を置くなどして、酸性の蒸気にさらすことにより、鉛が腐食して白くなってゆくというくらいの方法が書かれてありますが、近世以降、バロック期あたりですと馬糞を置いて炭素(メタンガス?)を供給していたようですが、より近代的な大量生産方法ですと、鉛板を吊した部屋に酸性の蒸気及び二酸化炭素を供給して製造するという具合だったかと思います。最近、あまり画材のことを考えていなかったので、いろいろ間違ってるかもしれませんが、今回の顔料作りが終了するまでには、調べなおして改めて投稿したいと思います。で、現代の方法は上記のいずれとも違うのですが、以前の近代的製法の方が絵画用とでは優れているというふうに言われたりしております。実際にどうなのかは意外とはっきりしません。何しろその近代的製法の鉛白ホワイトというのがなかなか手に入らず、あるいは手に入ったと思っても実はそうではなかったとか、いろいろありますので、私としてはそのようはことはあまり気にせずに、画材の理解の為と割り切って鉛白を作ってみたいと思います。

今回は馬糞の代わりにイーストを使用します。イーストと砂糖を混ぜておけば、二酸化炭素を発生させるであろうということで。この中の炭素が役立ってくれるのではないかと思います。分量等はまだよくわからないので、とりあえずホームベーカリー用の3g入りのイーストにその4倍の白糖をまぜ、お湯で溶いてみました。イーストはすぐに反応してブクブクとふくれてきまして、大きめの器を用意したつもりでしたが、あやうくあふれ出すところでした。反応がとても早いですね。この件に関しては、ゼラチンを2%添加することで、ゆっくりとした反応になるという話を教えて頂いておりまして、今回はゼラチンを混ぜた器も用意しました。

写真では、左側がゼラチン無しでありまして、初っぱなに反応の大半が進んでしまった感があります。自分用のメモとして書いておきますと、左側はイースト3gに白糖12g、湯を15gを混ぜたものです。右はイースト6g、白糖24g、ゼラチン1g、湯24gで混ぜたもの。ゼラチン入りの方は倍ぐらいの量にしてありますが、ゆっくり反応してくれるなら多めに用意しておいてよいかな、という考え方です。ゼラチン無しの場合は、頻繁にイースト容器を入れ替えるということで、1度の量は少なめにしております。

というわけでコンテナの底に酢を入れ、プラスチックの器に鉛テープを、それから、イーストの皿を並べたのが以下の写真です(ゼラチン無し)。

こちらはゼラチン入りのイースト容器を入れたものです。

コンテナはアイリスオーヤマのバックルコンテナを用意しました。透明なものと、ダークグリーン色のものを買ってみましたが、光を遠さない方がいいというような噂も耳にしましたので、果たしてどっちがいいなかというところですが、実験としては透明な方が常に観察できるので、その利点は大きいような気がします。イースト溢れてないかとか、気になることは多々ありますし。おそらくはコンテナが黒、フタが透明なものがたぶん一番いいかと思います。なお、アイリスオーヤマのバックルコンテナは、よく観察すると、多少通気性がありそうです。これはどうなのか、空気の出入りが少しくらいあってもいいのか、というも今はわからないところですが、密閉したい場合は、隙間テープみたいなもので補強してみるとよいのかもしれません。今日のところはマスキングテープで仮止めしておくことにしました。

酢ですが、ワインビネガーを使ってみました。これも意味はよくわかりませんが、西洋ならワインビネガーではないかな、というそれだけの理由なのですが、何か意味があるのかというと、気分的なものであろうか、というところもあって、西友の一番安い穀物酢でもよさそうな気がするのですが、いずれにしても鉛板の購入だけで手間も金も出ているので、今は気にしないことにしましょう。

ついでなので、イーストを入れないコンテナも用意してみました。ビネガーだけです。若干の通気性を残しておけば、大気中の二酸化炭素でいけるのではという気もしますが。それと掃除していたら、氷酢酸も見つかったので、これを使いつつ、適当な通気性の元でというのもあるかもしれませぬ。今回はまだ試行錯誤的な部分もあり、以下の3パターンのみで試してみようかと思います。

その他に関しては鳥越さんもやってみるというので、別の何かパターンを試してもらえればと思っております。お気づきの点があれば、コメント欄にて教えてください。

| 絵画材料 | 11:04 PM | comments (2) | trackback (0) |

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