2011,12,28, Wednesday
前回、布で包んで素手で圧搾するという方法により、胡桃から油脂を採りだした。
http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1040 種子から油を取り出す方法としては、絞り出す圧搾の他に、溶剤で油を溶かしてとりだし、溶剤を揮発させて油脂を得るという方法があるそうで、この溶剤による抽出の方がはるかに多くの油を取り出すことができるということである。文献等で油脂抽出で使用する溶剤として見かけるのはヘキサンである。ヘキサンはとりあえず別途入手してみるとして、試しに手元にあるテレピンでやってみようかと思う。なお、油脂の搾油・抽出を理解するための個人的な勉強としてやっているものでありまして、記事の内容は正確性に欠ける点が多々あるかと思うから、その点はご理解の上で読み進めてください。 先日、ヒマワリのタネでも溶剤抽出をやってみたけれども、そのときはエタノール(アルコール)を使用した。 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1038 感想としては、アルコールの場合、水との親和性も悪くないから、油脂の他に水溶性の不純物もより多く含まれてしまうような気がした。抽出した油と顔料を混ぜて試塗してみたが、普通なら数日以上かかるであろう未精製オイルの乾燥が、1時間後には乾いて定着するという予想外のことが起こってしまった。これは水溶性の粘性物質が水分の蒸発で固化したんじゃないかとか適当な考察をしたりしてるのだけど、その辺もいろいろ試しているうちになんとなくわかってくることも多いでしょう。普通テレピンは抽出用の溶剤にはまず使わないと思うけど、試しにやってみるということで。なお、いずれの溶剤で抽出しても、自分で溶剤抽出した油は食用には絶対使えないでしょう。単純に搾って搾油したものは飲んでも全く大丈夫だと思いますが。 さて、手搾りによって搾油した後の胡桃の残滓を器に入れ、そこにテレピンを注ぐ。 ラップをして30分くらい浸ける。 と思ったのだが、うっかり眠ってしまって、数時間が過ぎてしまった。 で、布で濾して胡桃を除き、テレピンと共に油脂を器に注ぐ。 その後、テレピンを完全に揮発させれば、溶剤に溶けていた油脂(および若干の不純物)が残ると思われる。 テレピンは普段画材として使っているとは言え、あまり身体によくないものであるから室内で揮発させるのもなんだと思って、外の軒下に置くことにした。それにしても、テレピンは画材として薄く塗布すると揮発が速いものであるが、こんな感じで器に入れたテレピンというのは、そんなに早々と揮発して無くなるというものでもないですね。それと、たぶん気温が低いと溶剤の揮発は遅くなるのではなかろうか。ヘキサンやエーテルを使用する場合でも、温度を高くして揮発させるようである。 というわけで、一日経ったけど、まだテレピンは残っているようである。 やってみて思ったんですが、テレピンはやはり向いてないかも。ペトロールでも試したところであるが、ペトロールはたまたま切れている。しかし、やってもそんなに意味はなさそうである。とりあえず、ヘキサンを入手し、ちょろっと試して、溶剤抽出に関しては終わりにしたい。個人が油脂の溶剤抽出するというのは、食用にせよ画材用にせよ、そんなに意味あることとも思えないので、ひとまずは抽出に関する触り程度の体験ができればよろしいかと。圧搾による搾油は、食用ではやってみて損はないかと思われる。自分で搾った胡桃油など、その場で使う場合はとっても美味しいかと思われる。画材としてどうかという点はやってみないとわからないですな。やってみたら実は簡単に亜麻仁油とか搾れたってことになるかもしれないし、いくつかの原料、方法等で暇を見て試してみたい。ちなみに年内にやっておきたいこととして、搾油と蒸留がテーマであったけど、蒸留は年明け以降ですかな。年末年始にかけては地味に油搾りの作業でもアップロードしてこうかな、と。 -- 2012/01/02 追記 -- その後、数日放置していたら、テレピンがそれなりに揮発していったのか、いかにも油脂といった状態になってきた。 下に残っている茶色いものは、胡桃のカスとかだと思われる。そう言えば、スタンドオイルの「スタンド」には置く、という意味があったと何かで読んだような気がするけど、単に置くというのも大事な精製工程なのかもしれません。置くと、不純物やゴミが落ちたりして精錬されるというか、単に置くだけで良いものになるとか。 これはこれでアリなのかもしれない。 圧搾で機械的に搾油し、その残滓に残っている油脂をさらに溶剤によって抽出するという一連の過程を体験することができた、と思ってよろしいでしょうか。 |
2011,12,26, Monday
書名をメモするのも面倒なくらいに、繊維についての本を読みまくったのですが、特に現代ではなくて、歴史上どのような発展をしてきたかについて読んでたんですけど、何故かと言えば、いきなり現代の繊維工業の話を読んでも、さっぱりわからないもんですが、技術が発達してくる過程をたどると、理解できたりするもので、これは絵具に関してもそんな気がするわけであるけども、それはともかく昔は衣類、または糸や布のような完成品ではなくて、苧麻なら繊維を取ったというだけの青苧という中間製品で取引または納税されていたというような話を読んでおり、その中間製品みたいなものにちょっと興味が出てきて、いろいろネット上を探して下記のショップさんで、それらしきものを見付けたので購入してみた。
麻福 ナチュラル素材 ヘンプものづくり.net http://hemp-material.net/ とりあえず、ヘンプ100%、生成りの布を購入。 ヘンプ100%の生地ということで、後で何かに使ってみたい。 そして、以下が中間製品と思われるもの。 繊維を取りだしたけれども、まだ糸にしていない状態であろうか。 下記の長繊維(未カット)というものも欲しかった。 http://hemp-material.net/SHOP/C0017-10.html しかし、少量パッケージは品切れということで、今回は手に入らなかった。 ヘンプの落ち綿 紡績する工程で発生する屑らしい。 サンプル帳も頂く。 これはヘンプ紙 |
2011,12,24, Saturday
前回、ヒマワリのタネからの搾油する話を投稿したけれど、圧搾はうまくゆかず、溶剤による抽出法にて油らしきものを取り出したという程度の成果だった。
右を参照:http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1038 炒ったものの方が搾油しやすいという話を複数の文献で目にしていたので、一応同じものを炒って試してみたが、結果は変わらないどころかむしろ悪くなった。使用したヒマワリのタネも、どことなく脂気が少ないような雰囲気ではあったし、別のタネを買ってきた方がいいかもしれないが、ヒマワリはそれほど本命ではなくて、亜麻、ケシ、胡桃、荏胡麻などの実を搾るのが最終的な目的でもあったので、気にせずに次々試していくことにしたい。 というわけで、今回は胡桃である。日本で油絵用に使う人は滅多にいないと思われるが、イタリアの油彩画家が使った油であり、亜麻仁油と並んで油彩画の歴史においては外せない乾性油である。 なお、すり鉢でタネを潰すのはけっこう時間がかかるので、ミルミキサーを用意した。 ミルミキサーの器に胡桃を詰める。 これは素晴らしい。数秒で細かく砕けてしまった。 すり鉢使ってたときは、DVDとか見ながら延々擦っていたのだが。。。 それにしても、なんかすでに全体的に脂っこい。期待できそうな予感が。 さっそく布でくるんで、手でぎゅっと搾る。 ちょっとした力で、既に油がじわっと染み出てきている。 前回、ガーゼで包んで万力で圧力をかけたところ、破れてしまったので、今回は、より丈夫であると思われるラミーを使ったが、これなら普通の綿布や二重ガーゼでも充分であろう。 手でぐいぐい搾ったら、どんどん油が出てきた。 写真でわかる通り、手が油でべっとりである。 けっこう出てくるものである。ほとんどが両手にべっとりついて、椀にしたたってくれないのだが、でもまぁ、実験に必要なくらいの油は絞れた。布で包んで素手で搾るというだけで油がこれだけ出てくるのだから、搾油器を使えばさらに大量のオイルが得られるのだろう。 これが搾った油。 胡桃油はイタリア人が油彩画に使用したことでも知られる乾性油であり、これで油絵具をつくることができる。 さっそく、顔料を練ってみた。 自分で搾ったオイルで作った油絵具である。 さっそく試し塗りしてみる。 ちなみに、この油を普段の制作に使用しましょうとは一切言わないけれど、ケシの実や亜麻の実はともかく、クルミはどこのスーパーでも売っているありふれたものなので、これを潰して布で搾ることで、自分で油絵具を作ることができるというわけだから、体験学習的なものとして、授業等に取り入れるといいかもしれませんね。 |
2011,12,19, Monday
農文協の『そだててあそぼう16 ヒマワリの絵本』に、ヒマワリの種を搾って油を取る方法が紹介されている。搾油器を使うというのではなくて、磨り潰したヒマワリの種を、綿布に包んで、手で搾ったり、麺棒で圧したりして搾油するという方法だけれど、ヒマワリのタネくらいの大きさなら、このように搾油できるということかしら。
いろいろ資料を探すために月2回ほど図書館に行っているけど、最近は、ほとんど子供図書館の資料を漁っている。長大な専門書を読む時間がないというのもあるのだけど、最近の子供向け図書は、子供だましというようなことは全然なくて、少ない字数、ページ数の中に、非常に濃密な情報が詰め込まれており、ときどき専門書にも書かれてないようなことが、実に簡単な言葉でずばりと書かれていたりしている。でもまぁ、言い換えれば、子供向けの本じゃないような気がしないでもないけど、いずれにせよ1冊1時間もかからずに読めて、得られる知識が多いので、広くお勧めしたいところです。 で、ヒマワリの種から油を絞ってみようと思い立ったわけだけれども、今年はヒマワリの近くにタデアイを植えたら、タデアイの繁栄は凄まじく、土の養分が全部タデアイに持っていかれたようで、ヒマワリは萎れてしまった。ということで、ネットで種を注文。 生の種よりも、炒った種の方が搾油しやすいという話を、なんどか読んでいるのだが、とりあえずは生の種を買っておいた。殻は既に剥かれてあり、塩などの味はついていない。 すり鉢で潰す。 布にくるんで搾る。 布は、晒しの木綿とあったが、晒しでなく、生成だと、布にちょっと色素があって、油に色が付いてしまうからかもしれない。 今回は、ガーゼを二重にして使用した。 素手で搾っても油が出てくる気配がなかったので、万力に挟んでみた。 布に油が染みて、さらに下の方には、ちょっと油が垂れはじめたが、ガーゼを使ったせいか、途中で破れてしまったので、中断。 次回は、もうちょっと丈夫そうな布を用意して、さらにちょっとタネを炒ってから試してみたい。 さて、種子からの搾油方法は「圧搾法」と「抽出法」があり、先に行なったのは、圧搾法であるけど、種子から搾れる油の量は限られており、それよりも溶剤を使った抽出法の方が、より多く油を抜き出せるのである。商業用途では抽出法が主流、あるいは圧搾法のあとに、さらに抽出法で油を取り出す。『ヒマワリの絵本』の凄いところは、溶剤を使った抽出法まで書かれているところである。含油率をはかる際に実験室で行なう方法として以下のように紹介されている。 --引用開始-- (1)ヒマワリの種5グラムを、コーヒーミルなどで粉砕する。 (2)それを50グラムのエーテル液に入れ、40分そのまま置く (3)その溶液をこして、油をとる装置に入れ、温度を加えてエーテルを揮発、回収する。 (4)あとに残った油分をはかり、最初のタネの重さとの比率によって含油率を計算する。 --引用終了-- 溶剤に油を溶かして、油を取り出し、溶剤を揮発させて油だけ残すという感じであろうか。エーテルとは実験等で使うエチルエーテルなのだろうけど、たいへん揮発しやすいので、このような実験に向いているのかもしれない。ただ、普通の室内でたくさん揮発させると人体に有害かと思われるので、エタノール(アルコール)でやってみることにした。一応、エタノールも油と親和性があるように思うが、正解かどうかはわからない。 とりあえず、先ほど失敗したカスにエタノールを注ぎ入れた。 揮発しないようにラップで来るんで数十分待つ。 その後、布で濾しながら溶剤を別の容器に移し、空気にさらしてエタノールを揮発させる。 油脂なのかどうかはわからないが、少々ねっとりしたものが残った。ちなみに、揮発させている途中で、2/3くらい溢してしまった。 一応、顔料を混ぜてみる。 指で塗ってみた。 どうなるかわはまだわからない。ヒマワリ油のリノール酸含有率は、気候に大きく影響されるようなので、ほとんどの場合乾性油としていいものが採れる可能性は低いと思われる。 |
2011,11,16, Wednesday
前回は、七輪で石灰岩を焼き、漆喰の材料である生石灰を作るところまで実行した。
■七輪で石灰岩を焼き、漆喰を作る【フレスコ画】 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1023 その後、生石灰を数日ほど水に浸けていたが、実際に壁やパネルに塗布して使えるのかどうか試してみることにした。 いざ使おうと思って、瓶から石灰の練り物を取り出したら、小さい石灰岩の塊がゴロゴロと混ざった状態だった。陶芸用の窯で焼いた場合は、完全に焼かれて、水に浸けてすぐに綺麗に崩壊したけれども、七輪焼きでは完璧にはいかなかったようである。古代の技法のように、数年間水に浸けておくと、ムラ無く細かくなったという可能性もあるかもしれないし、または水に浸けている間、よく攪拌した方がよかったのかもしれないが、たぶん焼き加減が最大の原因だろう。 砂を混ぜて、パネルに塗布。 水分が多すぎて、漆喰が緩くなったので、水平にして、セメント風に乾燥させることにした。 炭酸カルシウムなどの細かい体質顔料を混ぜると丁度よい練り加減になったかもしれないが、砂では粒が多すぎて水の多さを緩和できなかったか。砂が下に沈んでしまったが、今回はただの実験ということで多目にみよう。 2日後には、立派に乾燥していた。 焼き切れずに残った石灰岩が粒状になって、飛び出していたりなど、仕上がりに多少問題はあるけど、手近な道具で天然の石灰岩を焼き、水で消化し、漆喰として使うという一連の工程は繋がったので、学習的な試みとしては無事完了。 関連記事 石灰岩を灯油窯で焼く http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1020 |
2011,11,14, Monday
石灰を焼こうとして、いろいろ試しているうちに、七輪に陶製植木鉢で蓋をすると、わりと高火力の窯として代用できることが分かり、その他諸々の実験にも使えそうな予感がしているのだけど、燃料によって実験の成果がだいぶ異なってくる。幾種類かの燃料を試したけれど、まず、火力が高いと言われるコークスであるが、ふつうの七輪の使い方(鉢で蓋をしない)では、さっぱり役に立たなかった。燃えないのである。鉢で塞いで窯、というか炉のような状態にすると、それなりに火力を発揮しはじめる。だが、七輪では狭くて物足りない感じである。実際、石灰を焼くような工業的な用途ではコークスが現役で使われているようだが、七輪で無理に使わなくてもいいような気がする。どっさり買ってしまったので、私はどうにかして使い切らないといけないが。コークスは初めて使ったけど、最初全く火が付かなくてどうしたものかと思ったが、さらに普通に燃えているものの中に入れても燃え残るので、不良品でも買ったのかと心配になった。しかし、ようするにストーブとか、炉のような状態で火力を発揮するものらしい。
七輪の窯では、今のところオーソドックスに木炭を使うのが一番ではないかという気がしている。ナラなどを使ったやや高級な炭は、火がたいへん長持ちして、暖房用にはよいのだが、火力の必要な実験をしていると、ちょっと落ち着きすぎていて物足りない。昔のヨーロッパの産業ではオーク材の火力が重要だったということを読んだことはあったが、時間軸も含めた総合的なカロリーは高かったかもしれないけど、瞬間的な炎の強さは、針葉樹の方がよさそうである。 「現代農業 2011年 12月号」は薪の特集だったので、薪関連の記事に一通り目を通した。薪の場合、ナラなど広葉樹の薪は火が長持ちするので、暖房用に人気があるが、それと比べると針葉樹は短時間で燃え終わってしまうので、薪ストーブ用には不人気だとか。ただし、短時間で燃えるということは、それだけ火の勢いが強いわけで、すぐに暖まりたい場合は、松材の方がいいこともあるとも書かれてあった。石灰を焼く際に、できれば火力の強い炭を使いたいと思って、価格のちょっと高めの木炭、ナラ材の炭を買ってみたが、燃やしてみると、赤くなってじわっと熱を発し、見ていても高級感溢れるけど、七輪の窯にはあまり向いていないかもしれない。バーベキュー用などに売られている最も安い価格帯の炭は、ラワン材になどにも使われる南洋材が原料の炭である模様だが、この炭は、すぐに燃え尽きてしまうのだが、その分、火力が強そうである。じわっというのではなくて、火がメラメラと燃え上がりつつ、どんどん燃焼し尽くして灰になってゆく。これと七輪の窯の組み合わせはなかなか良いと思う。着火も非常に楽で、ナラ炭はなかなか火が付かないけど、南洋炭はちょっとした火種があれば、簡単に着火できる。このような安物木炭はどんどん燃えてしまうので、予想よりずっと多くの炭を用意しておかないと足りなくなる。安い炭をどんどん追加していきながら、通風口から空気を送り込んで燃やし続けると、うまく石灰が焼けるのではないか、などと思案中。 なお、七輪でよく使われる燃料に豆炭というのがあって、これは火がものすごく長持ちするから、暖房用には最適かもしれないが、しかし、その分火力が控えめなので、火力の必要な実験では、邪魔になるだけのように感じた。七輪って、狭いですからね。 |
2011,11,09, Wednesday
七輪で石灰岩を焼いて生石灰にし、漆喰を作ることができるか試してみた。
こちらが、ホームセンターで購入した炭火七輪。 七輪の燃料と言えば、炭と並んで豆炭が思い浮かばれる。他には、火力の強い燃料としてはコークスがある。最初、木炭、豆炭、コークスの混合で試みたが、結果は芳しくなかった。木炭も原料等により性能が異なるから、これも複数試したが、バーベキュー用の安い木炭を使った場合が、いい結果になった。しかし、この件は長くなりそうなので、別途機会があったら書くとする。 七輪に炭を入れて火を点ける。安物の南洋材の木炭はすぐに火が付く。 火が付いたら、木炭の上に石灰岩を配置する。 さらにその上に木炭を置く。 七輪の上に、陶製の植木鉢を置き、炉のような構造にする(ガスは鉢の穴から抜ける)。 七輪の下穴は絶えず全開にし、ときどき団扇などで扇いで火の勢いをつけてやる。 木炭をどんどん投入しながら、8時間ほど燃やし続けた。 木炭をケチってはいけない。 翌朝、燃えかすの中から、石灰岩を取りだしてみた。 水に浸けて見たが、反応はほとんど見られない。灯油窯で焼いたときは、一気に水温が上がって、石灰岩が崩壊してゆく様が見えたものだが。。 しかし、半日ほど放置していたら、いつの間にか石が崩れて、細かい粉の練り物になっていた。 灯油窯で焼いたほどではないが、七輪でもこのくらいにはなるようである。 あとは、これが漆喰のように固化するのかどうかを確認したいところである。 |
2011,11,06, Sunday
以前、カセットコンロでの生石灰作りを試みたが、コンロやガスバーナーでは長時間の加熱に向かず、コンロが酷く痛むし、カセットが熱せられて爆発するという危険もないわけではない。
石灰岩を灯油窯で焼いた場合は、サンプルが満遍なく生石灰となって一応の成功であったが、灯油窯を持っている人は少ないと思う。 というわけで、今度は練炭コンロで試してみることにした。 実は、練炭というものを初めて使用したのだけれど、なかなか便利な燃料である。練炭及び練炭コンロについては、Wikipediaが詳しいので、↓そちらを参照されたし。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%B4%E7%82%AD 石灰石を焼いて生石灰にする際の温度は『ポンペイの壁画』によると900~1200℃とある。Wikipediaによると、練炭コンロ(上つけ練炭コンロ)を使用した場合、燃焼温度が1060~1100になるという。そして、下窓を開放した高出力時で5~6時間燃焼を継続するという。2回続けて焼けば、12時間になるので、生石灰を作るには充分ではなかろうか、という期待である。 なお、期待させると悪いので予め結論を書くと、いちいちうまくいかなった。正確には途中で断念した。 でも、試みたことを順に書きとめておこう。。。 まず、練炭コンロに火をつける。 ステンレスの網に石灰石を入れる。 それを燃えている練炭の上に置く。 石灰石は、理科実験用教材として売られているもの。たぶん試験管に入るようにということで、とても小さく砕かれている。 火にくべたら、パチパチ鳴って、飛びだすので困った。 思わず反射的に素手で拾ってしまって、見事に火傷した。 酷く痛むので、アロエを切って幹部を巻いておいたら、そのうち治ったが。 練炭コンロの下窓を開けるほど、それだけ火力が強くなるそうで、終始全開の状態で行なった。 全開だと、だいたい5~6時間ぐらいで練炭は燃焼され尽くす。 日が暮れても燃え続ける練炭。 しかし、これだけ熱してもほとんど成果はなかった。焼いたサンプルを水に入れても、崩壊も、沸騰もせず、ペーハー測定紙を入れても変化なしであった。 陶製の鉢でフタをしてみることにした。 こうすることによって、炉のような構造になって、中の温度が非常に高くなるのである。 とある児童向けの本を読んでいたら、炭火七輪に鉢で蓋をした炉で、陶器を焼く方法が載っていたので、さっそく試したわけである。 これはなかなか効果があったようである。 最終的に石灰石は↓のようになった。 よく見ると、白さが増している石があるが、これは生石灰になりかけている状態だと思う。 しかし、炉のようにして2回焼いてこれであり、それでも、水を強アルカリにすることはあるけれども、崩壊も発熱もなく、いまいち効率的でないと感じた。同時に、炭火七輪でも行なったのだけど、そっちの方がうまくいってそうな様子なので、練炭コンロはこれで終わりにした。 すごい無駄な行為だったような気がしないでもないけど、練炭っていうのを使うのが初めてだったので、それを見ているのは面白かった。 練炭の持つエネルギーは練炭の体積以上のものは入ってないだろうし、これだけ長い時間、燃焼が持続するということは、瞬間的な火力は抑え気味であるのでしょうなぁ。 |
2011,11,05, Saturday
陶器制作用の窯で、石灰岩を焼いてみることにした。
琉球石灰岩である。 1300℃で6時間焼いた。 それほど変わってないように見えるかもしれないけれども、私の経験上では、見ただけでしっかりと生石灰になっているような雰囲気を醸し出していた。 瓶に移して、水を入れてみた。 ジュウジュウと音がして、水が温まってくる。 もちろん、石は充分冷えた後なので、生石灰と水の反応で温度が上がっているということである。 次第に石灰岩が砕けだし、かき混ぜるとどろどろの漆喰風の練り物になった。 瓶がどんどん熱くなっていく。 というわけで、石灰石を焼いて、生石灰を作ることに成功。 と言っても、さすがに陶器用の窯で失敗するということはないとは思うが。 イタリアの伝統的な消石灰製造においては、これを数年かけて水の中で消和させるとのことであるが、水に浸けて間もなく漆喰として塗っても、一応の壁は作れるであろう。というわけで、少量ではあるけれども、これをパネルか何かに塗ってみたい。 -- 2011年11月9日追記 上記の生石灰で漆喰が作れるかを早速試してみた。 水に入れた生石灰は、理想を言えば、長い時間をかけて消化させるとよいらしいけれども、この程度の量でそこまでするのもなんなので、続けざまにパネルに塗布してみることにした。 一応、数時間は、↓この状態で置いてはみたが。 石灰だけでは割れるので、繋ぎとして砂を混ぜた。 砂の量は、下地か、仕上げ層かで異なってくるが、今回は石灰よりも多いぐらい砂を入れた。 で、F4号の木製パネルに塗ってみたが、2~3日で立派な漆喰となっていた。 よく見ると、表面に穴とか筋があるのが見えるけど、これは、乾燥が進む間、ずっと気になって、棒で突いたり、ひっかいたりしてたので、こうなってしまっただけある。 |
2011,10,17, Monday
漆喰用の消石灰を作る方法は、『ポンペイの壁画2』巻末の「ローマ壁画の技法」が読みやすいと思う。
以下抜粋を引用。 「純粋な石灰岩を選び出し、窯で900-1200度の高温で焼くと、二酸化炭素が発生する。この操作によって炭酸カルシウムから生じる酸化カルシウム生石灰、もしくは焼き石灰と呼ばれる・・・<中略>・・・こうしてできた灰白色の生石灰の塊を平らな容器の中に入れて水で「消和する」。するとこの塊は高温を発し、水酸化カルシウム-白色のどろどろの石灰-ができる。このできたての新鮮な石灰はモルタルの材料として使用されるか、あるいは石灰沈殿槽の中で完全に消和させるため「水に浸けられる」。その中での消和は、少なくとも数年はかかる。」 古代ではすでに技術的に成熟していたようだけれど、石灰で漆喰のようなものを作る方法は、それよりずっと昔から発見されていたのかと思われる。同書でも「火を焚いている場所の近くの石灰岩が細かく砕けたり、どしゃ降りの雨の日に熱くなって湯気を出し、どろどろに溶けたあと再び固くなるさまなどを見て学んでいったであろうことは想像に難くない」とある。あまり高度なものとは考えすぎずに、原初的なものを目指して、石灰岩から漆喰っぽいものを作ってみたいと思うのである。 というわけで、石灰岩を焼いて生石灰を作り、水で消和して消石灰を作るという行為を行ないたいと思うが、その方法として考えられるのうち、それほどの手間なく自分で出来そうなものとしては「市販のかまどと薪で焼く」、「陶芸用の石油式窯で焼く」、「染色などをする際に使っているブロック積のかまどでコークスと一緒に焼く」というようなものが挙げられる。いずれも、大きな投資はなしに実行できるけれども、石油式窯の方は現在故障中である。 いずれにしても、まずは、予備的実験として、炭作りのときと同様、いつもの如く、カセットコンロで試してみようと思う。簡単な道具でできれば体験学習としても活用できるということで。 はじめに、石灰石ではなく、市販の炭酸カルシウム粉末(競技場ライン用)をフライパンの上で焼いてみることにした。 しかし、どうもうまくいかなかった。フライパン上で3時間熱し、ガスカセットを2本消費したが、特に目立った変化はなかった。 生石灰化したかどうかの判断として、水に投入したときに熱を発するか、または、水をカルカリ性にするか、という点に注目したが、水に混ぜてもペーハー値に変化はなかった。 生石灰を作るにはかなりの高温と時間が必要であるが、この場合フライパンがむしろ熱を遮っているとも言える。 しかし、これは試しにやってみただけで、特に深い意味はなかったから、すぐに放棄した。 で、いよいよ石灰石を取り出す。 琉球石灰岩の砂利、小さめの砕石である。 正直、見た目で判断すると、石灰岩として純度が高いかどうかはやや疑問である。 建材屋さんより、サンプルとして頂いたものである。 カセットコンロ上で、直接火が当たるように熱する。 30分ほど熱したところで、焼けた石を水に入れてみたが、水で崩壊するということはなかった。 30分程度では、なんら変化ないだろうと予想していたから、べつに気にしなかったが、その水にペーハー測定紙を入れてみたところ、わずかにアルカリ性になっていた。それなりの手応えはありそうである。 加熱1時間継続で、小さな石を取り出し、水に浸けてみた。水で崩壊するということはなかった。 しかし、その水のペーハーは完全に強いアルカリ性を示した。 だんだん日も暮れてきた。 さらに30分経ってみたところで、また小さな石を水に入れてみた。水に入れたところで崩壊する兆しはなかったが、割り箸の先でちょっと押したら見事に崩れ去って、粉になった。ちなみに元の石灰石は、力いっぱい押したところで、割り箸で粉々になるということはない。というわけで、生石灰の完成に近づきつつあるような気がした。 2時間加熱したところで、一端終わりにした。ほんとはもっと長時間でないと駄目なのだろうけど、少量のサンプルを焼くだけなので、この時間で充分かと判断した。 焼いた石灰石は、すぐに瓶に移して密封した。空気中の水分と二酸化炭素で、元の炭酸カルシウムに戻ってしまうといけないと思ったからである。 しかし、あるいはすぐに水に入れて消和させるべきだったのかもしれない。 明くる日、さっそく水に浸けてみることにした。 まず、小さくて、より白くなっている石を選び・・・ 試しに水をかけてみた。 表面が崩れ去り、石がじゃっかん温かくなった。 石灰乾燥剤に入っている生石灰などは、沸騰させるほどに水を温めるが、そこまではいかないようだ。 瓶に水を入れてみた。 期待したほどの反応がなくて、少々ガッカリである。 粉化したのは、この程度であったが、しばらく水に浸けた状態にしておいたのち、漆喰のように使えるか試してみたい。 備考 今更だけれど、建材サンプルではなくて、理科実験用に売られている石灰石を使えばよかったと思った。 カセットコンロは温度はわりと火力が強いので、火力不足というよりは、加熱時間が足りないということかもしれない。 しかし、強火で加熱を続けると、カセットコンロが激しく劣化するし、ガスカセットが温まって危険である。 練炭の上に石灰石を置いて、一昼夜ぐらいずっと熱し続けるなどの方がいいのかもしれない。 |