2020,09,22, Tuesday
西洋の黄色染料の代表格のひとつであるウェルド、数年前からタネの発芽を試みつつ、なかなかうまくいかなかったのですが、今年はついに一定量の収穫があったので、それを乾燥させていたのですが、いよいよ何か染めてみることにしました。
染色方法はあまり調べておりませんが、手元にあるエセル・メレの『植物染色』を参考にしていこうと思います。本来もっと計画的にやるべきところですが、あまり丁寧にやろうとすると、やるまえにいつの間にか日々が過ぎて機会を逃してしまうことが多いので、とりあえず黄色い色が出るのかどうかを確認するくらいということで、けっこう雑な感じで進めてゆきます。まぁ、一回目は軽くやってみてそれから情報を集めた方が理解しやすいということもありまして、逆に手を付けずに文献を調べていると言っている意味がわからないということもあって、はじめはいつもこんな感じですので。 というわけで、本当に黄色になるのか、煮出してみることに。 煮始めるとすぐに水が黄色っぽくなって、沸騰して泡が立つと、その泡も黄色くて、確かに黄色が出ている感じはしました。お試しということで15gの乾燥葉をしばらく煮てみることに。エセル・メレには45分とありましたが、30分ほど煮続けたところで煮汁も少なくなってきたので、そこで止めておきました。ほんとはもっとたくさんの量を45分煮出すとよろしいのでしょう。 そして綿布というか、たまたまあった木綿ガーゼを浸してみます。 この布は事前にミョウバンと酒石酸(8:2)くらいの割合で先媒しております。なお、エセル・メレではミョウバンと酒石酸でとあったのですが、比率などは書かれていませんでした。煮汁はかなり茶色っぽく見えるかもしれませんが、薄めた状態だと、たいへんきれいなレモン色に見えます。 こちらが染めた布を乾燥させた状態ですが、ギリギリ黄色く染まっているというところでしょうか。 画像では白っぽく見えますが、肉眼ではもうちょっと黄色い印象でした。黄土色とかじゃなくて、確かに黄色ではあるよなぁ、とは言えるでしょう。濡れていたときはもうちょっと黄色っぽかったのですが。隣は木綿のおしぼりですが、無媒染です。いずれにしても薄いので、綺麗で濃い黄色染めるには、まだ勉強が必要な模様です。単に濃くしようとすると赤茶っぽい色になりそうな予感もしますが、顔料化するとやはり以前下記の動画で撮ったウェルド顔料のような色味になるように思われました。いや確実にそうなるでしょう、という気がします。何が問題か、媒染剤か?土地の問題か? [Medici] 染料系顔料 黄色編 https://youtu.be/6SF-aM1nJh8 黄色の植物染料はいくつか試してみましたが、キハダが群を抜いて黄色いし、染めやすいというのは草木染めをやっている人から聞くことがありますが、同意見です。カリヤスも黄色を出すには複雑な工程が必要でした。その他もそんな感じでありましょう。サフランは濃そうですが、料理にしか使ったことがないので、個人的にはキハダの凄さが際立つ印象でありますが、レーキ顔料にする話は聞かないので、耐久性等の問題があるのかもしれません。天然染料の世界において、赤や青に比べると、黄色を鮮やかに出すというのは難易度高いと言えるのではないでしょうか。 |
2020,05,12, Tuesday
国民年金年一括分194,320円、自動車税34,500円、文化財保存修復学会の年会費8,000円など支払いました。間もなく住民税、そして夏には車検となかなか大変でありますが、払えるときに払ってしまいたい質なので、年一括で払えるものは払うのです。それにしても国民健康保険は高いなぁとずっと思っていたのですが、新型コロナの件を経てみると、いざというとき誰でもちゃんと診てもらえるということ考えると安いものであったなとちょっと改心しましたが、それはともかくとして、ゴールデンウィークはいっぱい本を読むぞと思っていたのですが、ずっとリーグル(著)『美術様式論 装飾史の基本問題』長広敏雄訳を読んでいて、そして連休明けて数日経ってようやく読み終わったところです。とてもとても勉強になりました。今まで見えてなかったものが見えてきたといいますが、見ても大して関心の無かった図像にメラメラと関心が沸いてくると言えます。19世紀に書かれた本であるからして、最近の論とも照らし合わせていろいろ確認したいところですが、それもまた楽しみであります。本書の中心は古代ギリシアであるけれども、その流れでビザンチン美術やアラベスクへと話は続くのでありますが、しかし今考えるともやは19世紀までの全て時代の装飾に理解が深まるのではないかと思われます。絵画とか彫刻とか建築への関心で終わっているうちはまだまだ美術の入り口に居るに過ぎないと言ってもよいのではないか。美術が何かと語るにはまだまだほんの一部しか見ていないのではないか。
読むのに時間がかかったのは、登場する植物を手当たり次第に買っては植えていたということにもよります。アイビーやらアカントスやら、地上に植えられるもの、そして東北でも植えられそうなものは全部植えました。ロータスはさすがに池でもなければ難しいので、保留にしてありますが、でもロータスの花の季節になったら、伊豆沼にでも行ってみますか。それにしても、19世紀の書であるからして、まだ絵画の世界で抽象表現が現れる前と考えると、その点でも興味深い。とはいいつつ、文章で装飾を説明されても理解に時間がかかるのか、いやでもやはり文章がすこぶる読みにくい気がしたのだけれども、細かい部分については、たぶん半分どころか1/3も理解してないような気がするのですが、しかし全体としての大意は伝わってきたような。どうだろう。なお、『様式への問い 文様装飾史の基盤構築』加藤哲弘訳、中央公論美術出版、2017という新しい翻訳もあるようなのですが、税抜定価28000ということで手が出なかった。リーグルの代表作『末期ローマの美術工芸』は33,000円なのか。しかし、春休みから連休にかけて読むはずであった本が山ほど積んであるので、それどころではないのでまぁいいのだけれども。 |