フジミ模型「平等院鳳凰堂1/150」制作記2(組み立て終了)
瓦葺きの屋根ですが、缶スプレーにていつもより明るめにベースの色を塗りました。
平等院鳳凰堂
この塗装の上に、エナメル塗料を希釈して流し込むように暗い色を重ねていこうという計画です。

そんなわけで、瓦屋根に使えそうなエナメル色を数種類購入していたのですが。。。
平等院鳳凰堂
とりあえずは、フラットブラックを中心にブラウンを少量混ぜたりしながら、流し込んでみたのですが、まぁ、初心者ですから、なかなか上手くはゆきません。色や溶剤を調合する際に、調色スプーンやスポイトが必要であると知って、それらを注文しました。毎回いろいろ手法を変えながらやってみるということは大事だと思います。

せっせと組み立てます。
平等院鳳凰堂
1/150モデルだと肘木のパーツもこのくらい簡略化さてくるのですな。

朱壁を明るく塗りたいと思っていたのですが、成形色がダークブラウンである為か、明るめのスプレー缶をいくら吹いても、なかなか明るい色に到達してくれず、無駄にスプレー缶のゴミを発生させてしまっている気がします。このような場合、事前にサーフェイサーというものを吹かないといけないということを知り、ホワイトおよびライトグレーのサーフェイサーを注文しました。

一応、組み上がりました(頂上部の鳳凰は後日、瞬間接着剤を入手してから取り付けたいと思います)。
平等院鳳凰堂
う~ん。どうも全体の色味が気に入らないように思います。木材部分はもうすこし朱色っぽくしたい。瓦屋根はドライブブラシ技法などを使ってもうちょっと本物らしくしたい。全体的にウェザリングを施したい。という考えはあるのですが、材料がまだ揃ってないし、ここまででも充分楽しかったと言えるでしょう。色を考えるだけでも、資料を参照してみたりするわけで、美術史的な知識が勢いよく増強されていく感じがするわけで、それが特に充足感となっているような気がします。さらにもうすこし時代や様式のことなる模型に挑戦してみたいところです。

| 史跡・古墳・名所等 | 09:58 PM | comments (0) | trackback (0) |
フジミ模型「平等院鳳凰堂1/150」制作記1
以前購入していたフジミ模型「平等院鳳凰堂1/150」
平等院鳳凰堂
こちらはパーツ数がけっこう多そうで少々気後れしておりましたが、制作に踏み切ってみました。
ちなみにわたくしは京都に4年半住んでいたにもかかわらず、平等院鳳凰堂を訪れたことがありませんので、ネットで画像検索した情報を元に制作することになります。

というわけで、まずはこちら、南翼廊の基壇パーツです。
平等院鳳凰堂
鳳凰堂の独特の矩形の基壇はなかなかかっこいいと初めは思っていたのですけれど、よく見ると基壇の構造が近代的する感じがすごくして、だんだんと違和感を感じてきます。写真をいくつも見たけれども、これは近代コンクリートの基礎に見えます。創建当時、翼廊には基壇がなく池に突出しいたという調査結果もあるようです。湿気から建造物を守るような、かなりしっかりしたコンクリート基礎が近代以降施工されたのであると思われますが、その経緯は後日調べるとして、いずれにしてもプラスチック感を是正するために、タミヤの情景テクスチャ「路面 ライトグレイ」を軽く塗っておくことにしました。さらにラッカースプレーのライトグレーを吹きましたが、エナメル塗料などで汚しを入れるべきか、ちょっと迷いました。よく聞くように西方極楽浄土の世界が鳳凰堂のイメージであるとしたら、下手に汚しを入れずに明るい塗装で仕上げるのがふさわしいのではないか。とも考えましたが、少し調べてみると、そもそも浄土世界の再現であるかどうかも簡単には言い切れぬ様子なので、あまりそれに拘りすぎるのもどうかと思います。この辺は後でじっくり専門書を読んだりするのが楽しみであります。

というわけで、エナメル塗料のブラックとブラウンで汚しを入れることに。汚しと言いますか、基壇の敷石のところが、石が目立たなかったので、敷石のモールドにエナメル塗料を流し入れて、目立つようにしたかったのですが、上手くいかなくて、結局全体を汚してごまかしてしまいました。私がプラモデルを盛んに作っていたのは小学生の頃でありまして、その頃はかなり作っておりましたが、何しろ小学生の技術でありますから、実はほぼ初心者なのであります。ちなみに小学生時のプラモデル制作はラジコンのブームによって上書きされて、いつしか遠ざかってしまった感じでありました。
平等院鳳凰堂
一層部分を組み上げてみましたが、朱壁はいつもより明るめに塗装したつもりですが、なかなかふさわしい缶スプレー色がなくて、ブライトレッドのベースにオレンジを吹きかけるという具合にしました。もっと明るくすることも可能ですが、元の成形色とあまりに差が大きいと、ゲート跡の処理が面倒になるので、作業効率など総合的に考えてこの色です。堂内にご本尊である阿弥陀如来もあります。

平等院鳳凰堂
以前入手したガチャガチャの阿弥陀如来像、同じ様式の阿弥陀如来像がたいへん多く、いずれの阿弥陀如来像なのか、特定できかねておりましたが、平等院鳳凰堂の如来像であるような気がしてきました。

もっと詳しく読みたいので、原色日本の美術全巻(古書が格安)を揃えたい気もするのですが、置く場所がないので悩ましいところ。

| 史跡・古墳・名所等 | 11:56 PM | comments (0) | trackback (0) |
オリーブの搾油を試みる。
随分前から自宅にオリーブを植えているのですが、そもそもの理由はオイルを絞りたかったから、という理由でありました。絵画材料の中でもメディウムに関心の高いわたくしは、一時期、さまざまの材料からの搾油を試みたことがありましたが、ふつうは植物油というのは種子を圧搾して得るものなのですが、オリーブの場合は果実から油が採れるのです。それは試してみたい。オリーブは非乾性油なので油彩画の媒材にはならないのですが、それでもまぁ、これは試しておかねばならないような気がして。と言っても、なかなかオリーブの新鮮な実を買えるという機会はなさそうだったので、苗から育ててみたのです。しかも結実するように、品種の違うものを2本。

それから何年経ったか、わからなくなってしまいましたが、そろそろ奮起せねばと思って、農文協の「オリーブの絵本」やら、ネットの情報を参照しつつ、搾油を試みてみました。なお、オリーブの搾油の件に関しては「オリーブの絵本」は実際にやってみると、内容に不明瞭な点があって、搾油に関しては他の資料をあたった方がよろしいでしょう。

というわけで、こんな感じで黒く熟した実がついております。
オリーブの搾油

集めてみたところです。
オリーブの搾油
そんなに多くありません。果たしてこんな量で油が得られるのか。なお、若干、青い実も混ざっていますが、あとからわかりましたが、なお、青い実は堅くて潰すのが難しいと感じましたので、黒く柔らかくなった、あるいは手でそっとひっぱるともげるくらいの実を採取するのがよいと思います。

厚めのビニールのパックに入れて、手で揉んだり潰したりしていきます。
オリーブの搾油

1時間もかけてようやくこのくらいになりました。オリーブの濃厚な香りがします。
オリーブの搾油

二重のガーゼで包んで絞ります。
オリーブの搾油

さあ、出てきた液体ですが、分離して、油は上層にきます。
オリーブの搾油

日の当たる場所で、分離を待っていましたが、以下のようになりました。
オリーブの搾油
おそらく下層は水溶性の成分、上層は油、中間はなにかわかりませんが、何かの粘性物質でありましょうか。これは低温圧搾亜麻仁油を精製するときのと似てて関連性が気になるところです。

写真のようにごく少量しか油は得られなかったのですが、味見してみましたが、意外と苦くなかったです。まろやかな感じでありました。少量過ぎて風味まではコメントできないのですが。いずれにしても、古代ギリシアでオリーブオイルは重要な輸出品であり、そのための壺も人気の工芸品であり、という話ですが、種からよりはずっと絞りやすいとは言えるものの、やはりプリミティブな環境で植物油を得るにはそれなりの労力が必要であるなぁと感じました。

| 絵画材料 | 06:15 PM | comments (0) | trackback (0) |
フジミ模型「薬師寺東塔1/100」制作記 2(完成)
フジミ模型 1/100 薬師寺東塔 完成
薬師寺東塔(フジミ模型)
完成しました。そんなには時間はかかってないと思います。が、軽くでも色を塗っておくと、プラスチック感がなくなって、少なくとも嫌味な感じは無くなりました。

創建時は木材部分は鮮やかな朱で塗られてあったと思われますが、そこまでいかずとも成形色よりは赤くした方がいいかな、と思って塗ってみたものの、改めて見ると、風化しても朱壁がこのような色にはならないだろうな、という感じであります。
薬師寺東塔(フジミ模型)
あるいは現状の薬師寺において、この色だとむしろ西塔に見えてしまいそうです(東塔も修復時に朱に塗るかと思っていたのですが)。

同じ1/100スケールの興福寺五重塔と比較するとこのようになります。
薬師寺東塔(フジミ模型)
薬師寺東塔は、形状としてはぱっと見、六重塔に見えますが(あるいは第一印象は五重塔かなと思うかもしれません。)、6つの屋根のうち3つは裳階なので、三重塔となっています。ちなみに組物のパーツは五重塔に比べて半分ぐらいでした。

プラモデルとは言え、作ってみるといろいろな細部に関心が出たりなどして、とても勉強になります。図書室によくある日本美術全集「原色日本の美術」シリーズを読むがたいへん楽しくなりました。そして形状だけでなく歴史的背景にも別格の関心が沸いてくるもので、日本史系の本を読むのも面白くなるほか、仏教経典も然りです。

やらねばならぬこともたくさんあるのですが、しかしもうちょっと作りたいと思っておりまして、手持ちのツールを強化しております。
ミネシマ F-110B 先曲ピンセットというのを買ったのですが、手頃な価格にして良いものでした。ピンセット本体の長さ、先の曲がり具合、左右の湾曲具合など、仏塔の組み物を取り付けるのに最適なピンセットと言えるでしょう。
それとツノダのミニカット No.8 MC-125という千円未満の安いニッパーを使ってゲートカットしているのですが、これは安いにもかかわらず、バネがしかっり効いて使いやすく、以外と切れ味も良いのですが、ゲートカットした跡がかなり白くなってしまって、何らかの処理をしないと目立ってしまうという問題がありまして、その処理をする手間を減らしたいと考え、定番品とも言えるタミヤの薄刃ニッパーを購入してみました。切れ味に関してはツノダと変わらないように感じましたが、ゲートカット跡は白さがだいぶ軽減されております。ときにははっきりと白く残ることもありますが、相対的にはだいぶ少なくなりました。そして切れ味の方なのですが、期待したほどでもなかったなと思ってはいたのですが、しばらく使ってから他のニッパーに替えてみたら、すっごい切れにくい気がしたので、やはり切れ味は良かったのでありましょう。
塗料に関しては、缶スプレーばかり買い集めているのですが、クレオスで統一しようか、タミヤで統一しようか、迷うところで、今は両方試しているところです。直感では皮膜はクレオスの方が丈夫そうですが、吹いたときの塗料のコントロールのしやすさはタミヤの方が良さそうな。接着剤は、なんだかんだで普通のタミヤセメントを使っていますが、一応流し込みタイプのタミヤセメントも買っておきました。

しかし新しいことをしてみると、精神衛生上とても良いということを実感しました。とりあえず今日働けば、その分で仏塔と塗料が買えるなぁとか考えて過ごしております。

| 史跡・古墳・名所等 | 08:37 PM | comments (0) | trackback (0) |
フジミ模型「薬師寺東塔1/100」制作記 1
先週、興福寺五重塔(フジミ模型)を組み立てましたが、次は薬師寺東塔(フジミ模型)に挑もうと思います。

興福寺五重塔について書いたときは、今後も無塗装で組み立ててゆく方針と述べましたが、しばらく眺めていると、やはりプラスチック感が強くて、安っぽく見えてしまうということもあって、今回は塗装を試してみようと思います。いかに短い手数で、それなりのかっこよさに仕上げられるか、というノウハウも確立したいところです。何しろ他にも組み立てたいものが積んであるので。そして、途中で放棄してしまわない為にも、短手数という要素は重要です。

まずは、瓦屋根ですが、こちらはたまたま手元にタミヤの缶スプレーのガンシップグレーがあったので、これを吹いてみたら、瓦のベース色としてとてもよさげな感じなりました。
薬師寺東塔(フジミ模型)

その上に、シルバーの缶スプレーをさっと軽く吹きかけました。
薬師寺東塔(フジミ模型)
缶スプレーは最初に吹くとき、ダマになって出てくることがあり、普通はちょっと出してみて、霧状になってから吹きかけるのが正しい手順でありますが、しかし、あえてダマも吹き付けてしまうと、瓦っぽくなるのでは、ということでそのようにしております。あとは均一に塗ろうとせずに、多少のムラを発生させてやるという具合です。ものすごく短時間で終わりましたが、しかし、ぱっと見た感じとても良さげです。

そして朱壁の色。成形色は劣化色を意識しいると思われますが、この色自体は問題ありませんが、やはりプラスチック感があります。
薬師寺東塔(フジミ模型)
できればちょっと朱色に近づけて、当時色にしてみたいような気もしておりまして。

というわけで、30分ほど車を走らせ、クレオスのモンザレッドを買ってきました。商品棚にあったものの中では、朱壁の色としてちょうど良いのではないかという判断で。
薬師寺東塔(フジミ模型)
この赤ならば、塗装時の朱壁の色に近いのではないでしょうか(薬師寺の塔がどうだったかまではチェックはしておりませんが)。

そう思ったのですが、どうも先ほどの瓦屋根の色と合わないような気がしたので、ちょっと風化色っぽくしてみることにします。具体的には屋根にも使用したシルバーとガンシップグレーの両方をちょっとづつ吹きかけ、そして半光沢のトップコートを吹いた、というところです。
薬師寺東塔(フジミ模型)

漆喰壁のパーツは成形色は白となっていて、そのままでも色的にはおかしくないのですが、漆喰の質感に近づけたいということで、つや消しホワイトをスプレーしてみました。が、あまり変わりません。というわけで、こちらもシルバーとガンシップグレーをちょっと吹きかけてみることに。
薬師寺東塔(フジミ模型)
ダマを吹きかけしまったあと、焦ってつや消しホワイトを再び吹くなどしているうちに、なんとなく漆喰っぽくなってきたような気がします。

朱壁と漆喰の彩りは↓このような感じになっております。
薬師寺東塔(フジミ模型)

ここからはひたすら組み立てであります。ゲートの切り離しあとなど、多少、色を筆で塗りたしたくなるとは思いますが、その辺は極力省いてゆきたいと思っています。それにしても、組み立てるのは楽しい。そして仏塔の勉強にもなる(主に外観ですが)。ちなみに薬師寺についてですが、3年ほど前、薬師寺を訪れた時は東塔は修復中の為に見ることができなかったので、実物は見たことはありません。

| 史跡・古墳・名所等 | 11:38 PM | comments (0) | trackback (0) |
フジミ模型「1/100 興福寺五重の塔」完成
フジミ模型「1/100 興福寺五重の塔」、土日を使ってささっと組み上げました。
興福寺五重塔
1/100ってやはりデカいですな。下から見上げてみると、現物を初めて見たときの感動が甦ってきます(というほどではないですが)。

西洋美術も日本の美術も満遍なく関心を持つべきではないかと反省しつつ、特に最近は仏教美術についてせっせとインプット行為に明け暮れているのですが、最近のマイブームは建築模型作りであり、模型を作ってみると、必然的にあちこち細かいところを見ながら組み立てるということもあって、観察という行為にはなかなかいい効果があるように思います。説明書見てるだけも面白いです。
興福寺五重塔

内部の柱などはもちろん無くて、肘木その他のパーツも、もっと構造物の内部まで通っているはずなので、構造の把握の勉強とまでいきませんから、飽くまで外部から見た形状の把握となりますが、これを経たあとに図書なのでさらに勉強すれば、理解も深まるであろうかと。
興福寺五重塔
現物の興福寺五重塔はその大きさの迫力も凄いですが、五重塔の軒を支える構造の複雑さが、初見のときは集合体的な恐怖感さえ感じたものですが、こうやって五重層の軒の組み物をじっくり見たあとだと、今度実物を目にしたときは、けっこう頭の中で整理されて、冷静に鑑賞できるのではなかろうか、と期待しております。

建物シリーズの他作品も徐々に作っていきたいところですが、基本的に塗装などはやらないという方針にしました。短時間で知識をインプットしたいというのが目的ですので、当初の目的を忘れてしまってはなりません。それと教材として使用した際に、生徒がべたべた触っても気にならないように、という理由もあり、これもまた大事であります。というわけで、無塗装、素組みで次々作ってゆくわけですが、フジミ模型の建物シリーズはその辺はよく出来ていて、本作品も朱壁と漆喰は元々成形色で色分けされており、そのまま組み立てるだけで、けっこう見栄えがする完成例となります。今回はパーツが非常に多かったので、土日をまるまる費やしてしまいました。そして気がついたのですが、まず自分が使っているニッパーの性能がきっと悪いということ。ゲートから切り離した跡が白くなってしまう現象の処理に手間取るってしまうわけですが、その処理を減らしたい。というか、後半は放置して組み上げましたが。そしてピンセットが重要であるということ、それから流し込みタイプの接着剤を試してみたいということ。写真を見てもわかる通り、接着剤がはみ出したところが汚くなったりとか、いろいろ課題はありますので。これらのツールが揃えば、高速で組み立てられるような気がします。良いニッパーでスパパっとゲートから切り離して、スパパっと鮮やかに接着して、しかも誰かちょっと触ったくらいでは外れない感じの耐久性があればいいかなと。

なお、事前は私は五重塔のはなし編集委員会(著)『五重塔のはなし』という本を読んでおきました。後半のQ&Aは非常に易しく書かれているのと比較して、前半の説明部分の内容が難しく、編集上の問題があるかとは思いましたが(しかも内容が前半と後半でかなり被っている)、構造や形状についての本としてまぁ、よかったかな、とは思います。他にも図書を探してみようと思いますが、読めば読むほど、フジミ模型はなかなか良い仕事しているなと感心しております。

| 史跡・古墳・名所等 | 09:22 PM | comments (0) | trackback (0) |
ウェルドで木綿を染めてみた。
西洋の黄色染料の代表格のひとつであるウェルド、数年前からタネの発芽を試みつつ、なかなかうまくいかなかったのですが、今年はついに一定量の収穫があったので、それを乾燥させていたのですが、いよいよ何か染めてみることにしました。

染色方法はあまり調べておりませんが、手元にあるエセル・メレの『植物染色』を参考にしていこうと思います。本来もっと計画的にやるべきところですが、あまり丁寧にやろうとすると、やるまえにいつの間にか日々が過ぎて機会を逃してしまうことが多いので、とりあえず黄色い色が出るのかどうかを確認するくらいということで、けっこう雑な感じで進めてゆきます。まぁ、一回目は軽くやってみてそれから情報を集めた方が理解しやすいということもありまして、逆に手を付けずに文献を調べていると言っている意味がわからないということもあって、はじめはいつもこんな感じですので。

というわけで、本当に黄色になるのか、煮出してみることに。
ウェルド
煮始めるとすぐに水が黄色っぽくなって、沸騰して泡が立つと、その泡も黄色くて、確かに黄色が出ている感じはしました。お試しということで15gの乾燥葉をしばらく煮てみることに。エセル・メレには45分とありましたが、30分ほど煮続けたところで煮汁も少なくなってきたので、そこで止めておきました。ほんとはもっとたくさんの量を45分煮出すとよろしいのでしょう。

そして綿布というか、たまたまあった木綿ガーゼを浸してみます。
ウェルド
この布は事前にミョウバンと酒石酸(8:2)くらいの割合で先媒しております。なお、エセル・メレではミョウバンと酒石酸でとあったのですが、比率などは書かれていませんでした。煮汁はかなり茶色っぽく見えるかもしれませんが、薄めた状態だと、たいへんきれいなレモン色に見えます。

こちらが染めた布を乾燥させた状態ですが、ギリギリ黄色く染まっているというところでしょうか。
ウェルド
画像では白っぽく見えますが、肉眼ではもうちょっと黄色い印象でした。黄土色とかじゃなくて、確かに黄色ではあるよなぁ、とは言えるでしょう。濡れていたときはもうちょっと黄色っぽかったのですが。隣は木綿のおしぼりですが、無媒染です。いずれにしても薄いので、綺麗で濃い黄色染めるには、まだ勉強が必要な模様です。単に濃くしようとすると赤茶っぽい色になりそうな予感もしますが、顔料化するとやはり以前下記の動画で撮ったウェルド顔料のような色味になるように思われました。いや確実にそうなるでしょう、という気がします。何が問題か、媒染剤か?土地の問題か?
[Medici] 染料系顔料 黄色編
https://youtu.be/6SF-aM1nJh8

黄色の植物染料はいくつか試してみましたが、キハダが群を抜いて黄色いし、染めやすいというのは草木染めをやっている人から聞くことがありますが、同意見です。カリヤスも黄色を出すには複雑な工程が必要でした。その他もそんな感じでありましょう。サフランは濃そうですが、料理にしか使ったことがないので、個人的にはキハダの凄さが際立つ印象でありますが、レーキ顔料にする話は聞かないので、耐久性等の問題があるのかもしれません。天然染料の世界において、赤や青に比べると、黄色を鮮やかに出すというのは難易度高いと言えるのではないでしょうか。

| 絵画材料 | 08:41 PM | comments (0) | trackback (0) |
渡辺照宏(著)『法華経物語』読了、そしてフジミ模型「多宝塔」制作
暑さも和らいですっかり過ごしやすい気温になってきましたが、もはや暑さを理由にダラダラしていられなくなったわけで、渡辺照宏(著)『法華経物語』を読了。これは名著でありますな。日本美術の勉強の為に仏教経典等の解説書、あるいは現代語訳というか要約というか、そのようなものを多々入手して読んでおるのですが、その中でもたいへん優れた一品ではなかろうかと思います。まぁ今の私の知識で判別できるものでもありませんが、あるいは私の趣味に合っているというだけかもしれませんが。日本美術において建築と彫刻の世界は経典と宗派についての知識がなければ何もわからぬ。絵画においても、一方は日本文学、一方は仏教美術とも言えるし、それは仮名と漢文の違いとも言えるかもしれぬのですが、日本文学はいろいろ読んでおりましたが、経典はまだまだ不勉強なだけあって、ちょっと読むとなんだかすごくいろいろ知ったような気がして楽しいと言えるでしょう。法華経の見せ場は見宝塔品かと思われますが、いままで気にしていなかった多宝塔も気になってきて、是非とも著名な多宝塔を訪れてみたいと思ったわけですが、遠くに旅行は控えた方がいいかと思い、代わりにフジミ模型の多宝塔(石山寺)プラモデルを購入。いつも塗装とかいろいろ考えているうちに作る機会を逸してきたので、今回は何も考えずに接着剤だけでぱぱっと組み立てました。
多宝塔
箱は大きかったのですが、なかのモデルは思ったより小さかったです。しかし垂木、肘木やその他の装飾など、細部はよく再現されており、自分で組み立ていくうちに印象に残るという意味で、これは建築の形状とか、様式とかを学ぶのにいいかもしれません。これはその他の建築モデルも作ってみたくなってきました。なお、金型が古いのか、バリが非常に多かったです。カッター等でバリを取りつつ進めるのですが、バリなのかデティールなのか微妙なところも多くて悩みどころでありましたが、そういうところが昔ながらのプラモ制作という感じで楽しいとも言えるでしょう。塗装する場合ですが、これは一回作ってみたないと塗装の計画を立てるのは難しいかと思われます。塗装しなくても概ね色分けはされているので、説明的なモデルとして使用するなら、むしろ何も手を加えない方がいいかもしれません。

その他には美川圭(著)『白河法皇 中世をひらいた帝王』読了。最近、ずっと日本史についての本を読んでおりまして、現在のところは平安期を中心に読んでおりますが、そろそろ中世へ移行したいところでありますが、思い返せば、武田恒夫(著)『狩野派絵画史』を読もうとして、ちと日本史の知識が足りぬなと感じで読んでいるうちに、当初の目的はすっかり忘れてしまって、何故か古代史から読んでおりますが、いやしかし改めて読んでみると、何もかも美術史と結びついており興味深いところであります。

福満しげゆき(著)『中2の男子と第6感』全4巻読了。久々にマンガ本を読んだような気がしますが、大変面白かったです。引きこもり的な箱庭的な部分と、そこから話が広がってゆく展開とがなかなか絶妙でありますが、最後の方はちょっと感動してしまいました。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 01:24 AM | comments (0) | trackback (0) |
欧州モミが発芽、アカンサス・スピノサス再び購入
アカンサス・スピノサスの苗を買いました。

今回は送料含めて3000円ほどかかったので、花の苗としては高価だったような気もするのですが、すごく立派な苗が届いたので、届いたときはこれは安い!と思ってしまいました。自分だったら売るのはもったいないくらいです。以前に買ったスピノサスは、植えてからしばらく観察してましたが、どうもスピノサスではないようであります。メルカリは本を買ったときも、ハードカバーの本を開いた状態で発送してみたりとか微妙ですな。まぁ、私もまだまだアカンサスについてはよく知らないので、まだまだ研鑽中ですが、今回ショップで買ったものはなかなか鋭角的であり、あきらかにモリスと違うのがわかります。こんなにギザギザなのか、という疑問もありますが、ギザギザなのでしょう。

なお、しばらく前に買ったアカントス・モリスの方はしっかり根付いて、日々葉が大きくなってきております。ローマンコリント式柱頭の葉のようになっていくでありましょうか。


古代ギリシアのアカントス唐草装飾の葉のギザギザ感は土地に多いスピノサス種を模写したことに因り、ローマの葉が柔和であるのは土地に多いモリス種を模写したことに因るとも説明できますが、しかしリーグルはこれに反論している。古代ローマの頃のはその頃のローマ領域全体の流行であったと。まぁ、私ごときにはわかりませんが、少なくともスピノサスとモリスの違いを実見できるだけでも今はありがたいところです。ほとんどの美術教育者が絵画や彫刻中心史観のような気がするのですが、広く装飾美術について関心が高まって欲しいということで、今後も話題に挙げてゆきたいところです。

それと、欧州モミの木のタネをしばらく前に植えていたのですが、なんと1本だけ芽が出ておりました。

すっかりあきらめておったのですが、素晴らしい。これでいつの日が自宅でシュトラスブルクテレピンが採れる日が来るのかもしれません。まぁ、実際はあまり大きくなっても困るので、盆栽的に鉢で育ててある程度観察するくらいになるとは思いますが。今は欧州唐松の種を探してそられらを見比べたいというのが目標です。何しろ絵画材料について語るときに、この樹脂は何々の木から採れるものだと語ったりしても、その木がどんなものかというのを知らないというのは、たぶんほとんどの人がそうなんだろうと思いますが、よくよく考えるとあまりにもお粗末過ぎる気がするので、私には納得いかんのであります。とはいえ、自宅に売られる植物も限られいるので、あちこち歩いて植物を観察しておるのですが、ちょうど蓮(ロータス)の花が咲いている時期なので、オリエント的な装飾の植物としてよく観察しておきたいところです。これは池がないと植えられないし。あとはやはり各地の植物園を訪れつつ、マツ科の植物の違いを把握してゆきたいとも思うのですが、県境越えはまだ控えておかねばならぬところもあるので、その辺に自生しているものを観察するのであります。

| 家庭園芸 | 08:47 PM | comments (0) | trackback (0) |
アロイス・リーグル(著)『美術様式論 装飾史の基本問題』長広敏雄訳、岩崎美術社 美術名著選書 1970 読了
国民年金年一括分194,320円、自動車税34,500円、文化財保存修復学会の年会費8,000円など支払いました。間もなく住民税、そして夏には車検となかなか大変でありますが、払えるときに払ってしまいたい質なので、年一括で払えるものは払うのです。それにしても国民健康保険は高いなぁとずっと思っていたのですが、新型コロナの件を経てみると、いざというとき誰でもちゃんと診てもらえるということ考えると安いものであったなとちょっと改心しましたが、それはともかくとして、ゴールデンウィークはいっぱい本を読むぞと思っていたのですが、ずっとリーグル(著)『美術様式論 装飾史の基本問題』長広敏雄訳を読んでいて、そして連休明けて数日経ってようやく読み終わったところです。とてもとても勉強になりました。今まで見えてなかったものが見えてきたといいますが、見ても大して関心の無かった図像にメラメラと関心が沸いてくると言えます。19世紀に書かれた本であるからして、最近の論とも照らし合わせていろいろ確認したいところですが、それもまた楽しみであります。本書の中心は古代ギリシアであるけれども、その流れでビザンチン美術やアラベスクへと話は続くのでありますが、しかし今考えるともやは19世紀までの全て時代の装飾に理解が深まるのではないかと思われます。絵画とか彫刻とか建築への関心で終わっているうちはまだまだ美術の入り口に居るに過ぎないと言ってもよいのではないか。美術が何かと語るにはまだまだほんの一部しか見ていないのではないか。
読むのに時間がかかったのは、登場する植物を手当たり次第に買っては植えていたということにもよります。アイビーやらアカントスやら、地上に植えられるもの、そして東北でも植えられそうなものは全部植えました。ロータスはさすがに池でもなければ難しいので、保留にしてありますが、でもロータスの花の季節になったら、伊豆沼にでも行ってみますか。それにしても、19世紀の書であるからして、まだ絵画の世界で抽象表現が現れる前と考えると、その点でも興味深い。とはいいつつ、文章で装飾を説明されても理解に時間がかかるのか、いやでもやはり文章がすこぶる読みにくい気がしたのだけれども、細かい部分については、たぶん半分どころか1/3も理解してないような気がするのですが、しかし全体としての大意は伝わってきたような。どうだろう。なお、『様式への問い 文様装飾史の基盤構築』加藤哲弘訳、中央公論美術出版、2017という新しい翻訳もあるようなのですが、税抜定価28000ということで手が出なかった。リーグルの代表作『末期ローマの美術工芸』は33,000円なのか。しかし、春休みから連休にかけて読むはずであった本が山ほど積んであるので、それどころではないのでまぁいいのだけれども。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 01:06 AM | comments (0) | trackback (0) |

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